タカラトミーグループの
サステナビリティ

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物流倉庫から製造工場、オフィスまで
タカラトミーグループの
リサイクル活動最前線

おもちゃを作り、お客様にお届けする過程で、どうしても発生してしまうさまざまな廃棄物。タカラトミーグループでは、それらを適切に処理・リサイクルすることで、環境に及ぼす影響を少しでも減らせるような活動を推進しています。今回の特集では、物流倉庫や製造工場、オフィスで行われている代表的なリサイクル活動を、現地取材やインタビューを交えてご紹介します。

Interview

段ボールのリサイクル率100%!
千葉県にある
「市川ロジスティクスセンター」の
15年来の取り組みとは?

物流の現場では日々、段ボールやビニールなどが大量に排出されています。タカラトミーグループの国内物流を支える「タカラトミーマーケティング 市川ロジスティクスセンター」では、それらの100%リサイクルを15年も前から実践し、環境に配慮しながら業務の効率化も実現しています。ここでは、タカラトミーグループのセールスや店頭マーケティング、そして市川ロジスティクスセンターにおける物流管理を担う、タカラトミーマーケティングの猪野貴士さんと渡邊恭秀さんにお話を伺い、実際のリサイクルプロセスはもちろん、こうした取り組みを始めたきっかけや成果、そして今後の展望を聞かせてもらいました。

猪野貴士
タカラトミーマーケティング L&A本部

玩具の卸売会社やテレビ通販会社を経て、2007年にタカラトミー販売(当時)に入社。物流のエキスパートとして、市川ロジスティクスセンターの物流プラットフォームの設計を任される。現在はタカラトミーマーケティング L&A本部でロジスティクス部と管理部の全体管理を担当している。

渡邊恭秀
タカラトミーマーケティング L&A本部
ロジスティクス部 物流管理課

1989年入社。電気自動車事業の営業担当などを経て、営業管理部の物流課へ。現在はタカラトミーマーケティング L&A本部 ロジスティクス部 物流管理課で管理系業務を担っている。

千葉県市川市から全国へ。
おもちゃ物流の前線基地

まず「市川ロジスティクスセンター」がどのような施設なのか教えてください。

猪野
タカラトミーグループの国内物流を支えている基幹センターで、ここから全国の販売店様、問屋様におもちゃを出荷しています。昨年からはメーカー直販のECサイトの在庫も扱っており、お客様が「タカラトミーモール」で購入された商品もここから発送しています。私たちの扱う商品の多くが海外で製造されているのですが、日々コンテナで入荷してくる商品を荷捌きし、検品して格納。そしてお客様のご注文に応じて出荷していくというのが大まかな業務の流れですね。出荷指示や作業指示は最新のシステムで電子化され、商品の仕分けには「ピース仕分けソーター」という大型のマシンを使うなど、延床面積およそ1万7000坪という規模に対してかなり省人化されているのも特徴です。

「市川ロジスティクスセンター」では何人くらいの方が働かれているんですか?

渡邊
普段は120人くらいで、年末の繁忙期は250人ほどです。その人員数で毎日20万ピースもの商品を捌いているんです。もしピース仕分けソーターがなかったら、その何倍もの人手が必要でしょうね。
※1ピース=(販売される商品1個単位)

ここから日本中におもちゃが出荷されていますが、物流センターが千葉県の市川市にある理由は?

猪野
東京港に近いというのが主な理由です。商品を積んだコンテナは海上輸送で届くので、港に近い方がセンターまでの輸送コストを抑えられます。また近隣に大手の小売店様や通販会社様など、私たちの主要な納品先となる企業の物流センターが集積しているんです。市川は入荷・出荷の両面で効率的な立地なんですよ。
市川ロジスティクスセンターの写真
市川ロジスティクスセンターは、2010年にオープンした「プロロジスパーク市川Ⅱ」という多層階倉庫施設に入居。フロアごとに異なる企業が入居できる施設で、タカラトミーグループは2〜5階のフロアを占めている。
ピースソーターの写真
注文を受けた商品を白いソータートレーに載せて流すと、販売店様ごとに必要な数量が自動で仕分けされ、コンテナボックスに投入される。

センターを一新。
新たな試みも導入

市川ロジスティクスセンターは2010年に稼働開始したそうですが、新たな物流拠点を作る上で意識した点はありますか?

猪野
当時はまず、本来あるべき適切な物流サービスをタカラトミーグループとして確立することが喫緊の課題となっていました。

「本来あるべき適切な物流サービス」と言いますと?

猪野
実は、ご注文いただいた商品が納期に間に合わなかったり、注文していた商品と違うものが届くといったことが発生していたんです。原因としては、2006年にタカラとトミーが合併し、タカラトミーとなったのですが、物流機能は旧トミーが持っていた既存センターだけでまかなう形となっていました。扱う物量が約2倍に増えるわけですから、パンクしてしまうのは当然ですよね。
渡邊
当時は出荷が追いつかず、ひっ迫した作業を行うこともありました。その後、猪野が入社したのをきっかけに少しずつテコ入れがなされ、合併から1年ほどで大きな混乱は収まりました。とはいえ、今まで使用していた物流センターが手狭であったため、ここ市川にセンターを構築・移転することになったわけです。
猪野
最新鋭の物流システムの導入をはじめ、効率的で作業しやすい環境作りに努めました。ここで働くことが楽しいと思ってもらえるように、「リカちゃん」や「トミカ」などの大きな写真を掲示し、殺風景になりがちな倉庫内をおもちゃメーカーらしく演出したのもそのひとつ。また作業フロアに空調を完備したり、従業員向けの売店やカフェテリアを設けるなど、当時の物流業界ではめずらしかった試みもいち早く取り入れました。
市川ロジスティクスセンターの写真
以前のセンターから一変し、今では機能的で広々とした空間での作業が可能に。
タカラトミーグループを代表する商品・キャラクターが空間を彩る。

思いがけないめぐり合わせ

段ボールのリサイクルは稼働開始当初から行っているとお聞きしました。そうした活動を始めた経緯を教えてください。

渡邊
現在のようなリサイクルシステムが実現したきっかけは“思いがけないめぐり合わせ”にあります。もともと新センターは、千葉市の新港という場所に作る構想があったのですが、建設予定地のすぐ隣に古紙回収業者様の本社があったんです。
猪野
そこで、センターでたまった段ボールを直接コンベアで古紙回収業者様の建屋に流す、というシステムの構想までしていたのですが、新港でのセンター建設はリーマンショックの影響で流れてしまいました。その後、市川のロジスティクスセンターに入居することになったわけですが、毎日大量に排出される段ボールの処理は、引き続き新港の古紙回収業者様にご協力をお願いすることにしました。実のところ、段ボールというのはとてもかさばりますし、たたんで積んで保管すると言っても、かなりの人手とスペースが必要。段ボールをどう処理するかは、物流業界では常に頭を悩ませる課題のひとつなんです。

そうして、巨大な段ボールの圧縮機(破材コンパクター)を導入することになったんですね。

猪野
そうです。ちなみに導入にあたっての設備投資や維持費は、まとまった量の段ボールを安定的に回収・資源化できるということで、古紙回収業者様が負担しています。我々としても排出される段ボールを効率よく処理して100%リサイクルに回せるので、お互いにとってwin-winな取り組みとなっているんです。
渡邊
当センターでは圧縮機を建屋の中に設置しているので、圧縮した段ボールが風雨で汚れるといったことがありません。保存状態がいい高品質な段ボールなので、古紙の買取業者様にも喜ばれているそうです。
猪野
巨大な圧縮機の屋内設置は、建屋の建築段階で床の梁を増やして補強することで実現したんです。導入前に建屋が完成していたら現在のリサイクルシステムは構築できなかったでしょうから、タイミングという意味でもばっちりでしたね。
段ボールが回収されるまで
段ボール回収専用のコンベアの写真
段ボール回収専用のコンベア。開封されて空になった段ボール箱はこの上を流れていく。
圧縮機で圧縮されブロック状の段ボールの写真
集められた段ボールは巨大な圧縮機でギュッと圧縮されブロック状に。
ブロック1つの重さはなんと500kg! これが25〜30ブロックほどたまった段階で古紙回収業者様が回収します。ちなみに回収頻度は月2回(繁忙期は週1回)とのこと。多くのダンボールが回収されていますので、どれだけ多くの段ボールが排出されているかが分かります。

梱包材もポリ袋として
リサイクル

段ボールのリサイクルに加えて、荷崩れ防止用のストレッチフィルムもリサイクルしているんですよね。

猪野
ストレッチフィルムとは、商品の入荷や出荷の際、積み上がった段ボールが崩れないように巻きつけてくくるラップフィルムのこと。これも使用済みのものが毎月1トンほど排出されているんです。
渡邊
かつては産業廃棄物として排出していたフィルムですが、2011年から資源として回収してもらい、有価で買い取ってもらうようになりました。さらに2年半ほど前からは、フィルムを再生して100%リサイクルのポリ袋を製造販売している包装資材メーカー様に回収をお願いしています。実際にリサイクルされたポリ袋は倉庫内で使用していて、ごみや排出物の分別・処理で活用しているんですよ。
商品倉庫で使用されている崩れ防止フィルム
商品倉庫で使用されている崩れ防止フィルム
排出されたストレッチフィルムと、それを再生資源にしてできたポリ袋の写真
排出されたストレッチフィルムと、それを再生資源にしてできたポリ袋。

よりサステナブルな物流サービスを目指して

最後に、環境に配慮した活動として今後取り組みたいものがあれば、ぜひお聞かせください。

猪野
段ボールやストレッチフィルムといった「モノ」のリサイクルにとどまらない活動を視野に入れています。最新鋭の物流センターの中には、屋根にソーラーパネルを設置して太陽光発電を行っているところもあります。このように一歩踏み込んだ取り組みについては、ロジスティクスセンターの家主様と私たちで協議を進めているところです。
渡邊
あとは配送に関する取り組みですね。北海道や九州などの遠方エリアに出荷する際は、「モーダルシフト」と言ってトラックではなく鉄道による輸送への転換を図っています。費用が安価というメリットに加えCO2の削減にもつながるので、以前から力を入れている活動のひとつです。また将来的には、自社でEVトラックを導入・運用するなども考えています。
猪野
ここ10年ほどで、物流業界でも環境配慮の気運が高まっていますが、その中でも私たちは早くからリサイクル活動に取り組んできました。今後も効率や品質の向上だけでなく、物流を通じてサステナブルな社会を実現していけるよう、日々の業務を進めていきたいと思います。
まだまだあります!

タカラトミーグループの
リサイクル活動

プラスチック端材や
金属くずも
ムダなく資源に

タカラトミーグループで唯一国内に工場を有しているトミーテックでは、製造現場の最前線で廃棄物削減・環境負荷低減のための活動を推進しています。製造工程で排出されるプラスチック端材や金属くずなどは、法令に従って適切な処理を行い、可能な限り再資源化するよう努めています。

プラスチック成型時に排出されるランナーは、樹脂の材質ごとに分別され、工場内の決められた場所に保管されます。
鉄道模型の車輪の切削や金型の製作などで排出される金属くずも、工場内で分別・保管後、素材ごとにそれぞれ分けて、専門の業者に引き渡して再資源化されます。
事業活動を通じた取り組み

トミータイ
環境配慮への取り組み

トミータイの写真
トミータイ(タイランド)
トミータイのHP(英語)
https://www.tomy-thailand.com/en/

タカラトミーグループの玩具製造拠点であるトミータイでは、製造過程で廃棄物を出さない工夫、環境保全活動等、環境に配慮した様々な取り組みを行っています。
2024年10月に、本来であれば廃棄される「銅」をスプレーマスクへと生まれ変わらせる取り組みをスタートしました。製品部品の成形に必要な金型を作成する為のEDM*マスターから出る「銅」の削りくずを、スプレーマスクに生まれ変わらせ、実際に製品を塗装する際に再利用しています。
トミータイではこれからも世界中の子どもたちが笑顔になるエコなおもちゃ・アソビづくりを心掛けていきます。

*Electrical Discharge Machining(放電加工)…金属加工の一種であり、電気エネルギーを利用して金型を削る方式。
金型作成用のEDMマスターを作る際にでる銅の削りくずを集め、汚れを取るために洗浄します。
洗浄した銅の粉を水槽に入れた後、電気の力で分解し、スプレーマスクの元(写真右側)を作ります。
スプレーするところに穴をあけて完成です。

正しい分別とリサイクルは
オフィスでも

リサイクルを推進しているのは倉庫や工場だけではありません。タカラトミーのオフィスでは、ごみの種類ごとにごみ箱を細かく分けているほか、飲み終わったペットボトルもラベルとキャップを外して正しく分別をしています。日々の業務の中で従業員一人ひとりのリサイクル意識を高める活動をしています。

プラスチック、紙・木、お弁当の容器、かん・びん……など、普段の業務や休憩中に排出されるごみはしっかり分別。
不要になったおもちゃのサンプルなども決められた回収ボックスへ。正しい捨て方が分からない物を入れるための専用ボックスも用意されています。

さらにタカラトミーのオフィスでは、ペットボトルキャップの回収量に応じて子どもたちにワクチンを寄付する活動に参加しています。ペットボトルを細かく分別するのはこの活動のためでもあります。キャップの回収は、2024年10月の回収時には275kgものペットボトルキャップが集まり、137.5人分のワクチンを寄付することができました。

集められたペットボトルキャップの収益は認定NPO法人「世界の子どもにワクチンを日本協会(JCV)」に寄付されワクチンとなり支援国に送られます。なお回収されたキャップ自体もプラスチック資源としてリサイクルされます。
オフィスに掲出されたポスター(2023年度版)。積極的な啓発を通じて、ワクチン寄付の活動はすっかり社内に定着しています。
Comment

わかりやすいサインを使用することで、社員が分別しやすい環境を整えています。オフィスでも適正な分別をすることで、リサイクルの推進・環境負荷低減への取組を行っています。

タカラトミー 総務部総務課
小林

ごみの分別を通してペットボトルキャップを回収することで、世界の子どもたちのワクチンへと変わる運動を行っており、環境に優しいだけでなく、社会貢献にも繋がっています。このような活動により、分別への意識が社内全体へ広がっているのだと思います。

タカラトミーアイビス 総務サポート課