タカラトミーでは、事業の発展やグローバル化の推進、適切な監督や監査には多様な視点の確保が重要であるとの認識に立ち、多様な人材の役員への登用を進めています。
このページでは、多様性を活かした取締役会について、ステークホルダーの皆さまによりわかりやすくお伝えするため、
2020年6月に新たに選任された安江令子氏、殿村真一氏、伊能美和子氏の3名のインタビューをご紹介いたします。
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Q 01
社外取締役に就任されました。まずは抱負を聞かせてください。
タカラトミーには、ブリキのおもちゃから始まり、子どもたちに夢を与えるおもちゃを100年近くにわたって世に出してきた長い歴史があります。私自身の子育てを振り返っても、最初に子どもに買い与えたおもちゃは、自宅(米国カリフォルニア州バークレー)近辺のトイショップに今でも並ぶ、木のおもちゃでした。アナログのおもちゃには、人間の本能に訴える魅力があり、それは世の中のデジタル化が今後さらに進んでも、絶対に途絶えることはないでしょう。社会の持続性という点からも、今後はサステナブルなプロダクトコンセプトがおもちゃ開発においても重要ではないかと思います。
私はこれまで20年超にわたって、IT分野を専門領域に、主として海外でビジネスキャリアを積んできました。タカラトミーは今、製品や事業活動のさまざまな分野でデジタルとの融合を図ろうとしていますが、その中で、自身の経験や知見を活かしていくことが、私に期待される役割の一つだと認識しています。 -
Q 02
タカラトミーの取締役会にはどのような印象を抱きましたか。
取締役会やリスク/コンプライアンス委員会などから、タカラトミーは非常にオープンで透明性が高いという印象を抱いています。情報を隠さないことは、経営の実効性を高める上での必要条件です。新任役員に対するレクチャーも、タカラトミーやグループ会社の歴史、過去の経営陣、業績、製品から社内用語に至るまで丁寧にご説明いただくなど、すぐに議論に参加できるような配慮があり、感謝しています。
そのような議論のベースがあるので、外部、あるいは女性の観点で、製品開発における重要なポイントやこだわりについてご意見させていただいたり、私の専門分野から製品開発に貢献できそうな最先端の技術や、SDGsの目標達成に貢献できるような研究成果などを紹介していけると考えています。 -
Q 03
グローバル企業として飛躍を果たすために必要なガバナンス面での課題は何でしょうか。
多くの日本企業が、海外子会社を含めたグループガバナンスでご苦労されている中で、タカラトミーは、富山会長と小島社長のお二人の強い意志で、しっかりとしたグループガバナンス体制の構築・維持を図ろうとされています。その方針が、私を含めた社外取締役や海外子会社の経営者にも十分共有されていると感じています。グループガバナンスで重要なポイントとなるのが、子会社経営陣と親会社の間に相互のリスペクトがあるかどうかです。その前提には企業理念・経営理念に対する深い共感とグローバルなビジネスの見識、そして相互に信頼関係が構築されていることが不可欠です。富山会長と小島社長はお二方とも欧米の経営感覚を持っていらっしゃり、海外子会社の経営者との議論の中からも、相互のリスペクトの上に強い信頼関係があることを感じています。
また取締役会の構成についても、個々のメンバーの専門領域や国際感覚という視点で、想像していた以上にダイバーシティに富んでいると感じています。現在外国籍の取締役はいませんが、国際的な経営感覚をお持ちのトップの下、グローバルスタンダードで海外子会社のCEO、CFOと十分なディスカッションがなされており、人数や見た目ではなく、本質的なダイバーシティが進んでいると感じます。 -
Q 04
最後にステークホルダーの皆様に一言お願いします。
コロナ禍を経てスローダウンした日本経済は、残念ながらその復調スピードもスローであろうと思います。ある程度それは仕方なしと割り切り、成長ポテンシャルの高い分野に経営資源を注いで成長を図っていかなければなりません。「トミカ」「リカちゃん」などの定番商品は、時代の流れに応じて進化を遂げ、発売数十年経った今もタカラトミーの主力商品です。世界には販売されていない国・地域はまだあり、そこは魅力的な市場かもしれません。
「持続する」ということは本当に重要で、タカラトミーの100年近い歴史と、その中で脈々と受け継がれてきた企業理念や歴史観は、他社には真似できない、かけがえのない財産であり、強みです。
私はこれまでの取締役会を通じて、心からリスペクトできる経営者とともにタカラトミーの成長を考えていけることを嬉しく思っています。このような誇れる会社に勤める従業員の方々とも、今後さまざまな機会を通じて対話を重ね、3年後、5年後を見るのではなく、30年後にも輝き続ける会社として次世代につなげていけるよう、貢献していきたいと思います。
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Q 01
社外取締役に就任されました。まずは抱負を聞かせてください。
私は新日鉄の経営企画時代から現職まで、M&Aや新規事業企画等のビジネス企画と、ITやデジタルの活用、そしてグローバルビジネスの3つの領域を柱に、日本企業はもちろん、多くのグローバル企業を支援してきました。現在もシンガポールに駐在し、グローバルコラボレーションを最大の武器として戦略の「実装」を支援しています。
タカラトミーは今まさに、グローバルビジネスの強化やデジタルとの融合に注力しており、社外取締役としてこれまで自身が得た知見や経験を活かし、貢献していきたいと思います。私は過去にタカラトミーとの取引がない中立的な立場の独立役員でもありますが、ビジネスとは別に社会人教育にも従事しており、知育・教育への関心は高く、また幼少から小学校低学年までは「プラレール」のヘビーユーザーでしたので、昔から馴染みのあるブランドに貢献できる機会をいただき、大変うれしく思っています。 -
Q 02
タカラトミーの取締役会やガバナンスについての印象を聞かせてください。
これまで多くの企業を拝見する機会のあった私が最も印象的に感じたのは、あらゆる情報を極めてオープンにシェアしてくださる透明性の高さです。新任の社外役員にも追加的な研修機会を作ってくださり、透明性をさらに高める努力をされていると感じています。取締役会での議論も非常に活発で、当初予定された会議時間を大幅に超過してでも議論を尽くしています。社外取締役も、同じ議題に対し、会計や法律などそれぞれの知見から多面的に洞察力の深い指摘をされており、今後、私も自身の知見・経験を活かし、ビジネス的な視点での助言等を通じて、タカラトミーの持続的な企業価値向上に資するよう尽力したいと思います。
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Q 03
現在のタカラトミーのグローバル戦略を、どのように捉えていますか。
グローバル経験の豊富なトップの下、M&Aも積極的にされており、また取締役会では海外の役員の顔ぶれも見られるなど、とても進んだグローバル経営をされていると感じています。
一方で、タカラトミーに限らず、日本企業全体はグローバルオペレーションに課題を抱えています。海外で場数を踏んだビジネス人材の育成の点でも日本は後れを取っており、海外の多様な言語・文化を持つ人たちともミスコミュニケーションを起こさずにオペレーションを回していけるようなビジネス人材が、日本には極めて少ないのです。タカラトミーは早い時期からグローバル戦略に取り組んできました。今後、海外ビジネスを拡大していくに伴い、戦略、財務、人事などオペレーションの仕組みをグローバルに落とし込む必要が出てきます。私は、足もとのビジネスリスクを踏まえつつ、その仕組みづくりに資する提言を、積極的に出していきたいと思います。 -
Q 04
タカラトミーがデジタルとの融合を進める上で重要なことは何だと思いますか。
デジタルとの融合を図る上で重要なのは、タカラトミーが企業理念として掲げる「夢」の実現としっかり整合性をとっていくことだと思います。企業にとっては利益成長も重要ですが、企業は理念からはずれた道を進むと確実に弱体化します。その意味で、デジタルとの融合においては、タカラトミーの「夢」の実現に最適な形を取り込めるよう、支援していきたいと思います。
これまで取締役会や他の会議体に参加し、社員一人ひとりがタカラトミーの「夢」の実現を標榜し、情熱をもって仕事に取り組んでいる姿が印象的でした。コロナ禍もありデジタルチャネルの充実は必須ですが、手に取ってもらうことで伝えられるタカラトミーの製品価値を訴求する難しさもあります。デジタルの活用は、セールスツールの視点だけで捉えずに、広くおもちゃ業界全体のデジタルエコシステムの創出に結びつけられれば、競合他社のいない新しい価値を市場に生み出し、事業のさらなる広がりにつながると思います。良い意味での新陳代謝を通じて、タカラトミーがビジネスポートフォリオを拡充できるよう貢献していきたいと思います。
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Q 01
社外取締役に就任されました。まずは抱負を聞かせてください。
私自身は「リカちゃん」で育った世代ですし、夫は「超」がつくほどの「トミカ」好きで、以前から親しみのあるタカラトミーの経営に参画できることをうれしく思っています。私自身は技術者ではないものの、これまでのキャリアでは、技術者の言葉を通訳しながら最新の技術をマーケットとつなぐ橋渡しをして、新しい世界観、ビジネスモデル、市場の創出を実現し、業界構造そのものも大きく変革するような事業にも携わってきました。常に新しい技術へのアンテナを張りながら、それら技術をタカラトミーの商材やビジネスと結び付けることでどのような可能性が広がるのか。技術が実現しうるちょっと先の未来や、これまで築いてきた人的ネットワークといった外の風を、タカラトミーの中に取り込んで、次の時代に必要となるさまざまな材料をご提供できればと思っています。
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Q 02
デジタルで広がる可能性について、具体的なイメージを教えてください。
今はまだ、オンラインとオフラインを二項対立で見ている時代ですが、デジタル化が進んだその先は、リアルの世界がデジタルの世界に包含されていきます。人はデジタルでつながりながら、時折、ショップなどのリアル店舗に現れる。このような捉え方をすると、店舗を離れても、オフライン上でお客様のマインドとつながりを保てていれば、それは新たなビジネスチャンスになります。
前職では、家につながれた黒電話が自由に持ち歩けるスマホへと進化する変遷を見てきました。コードにつながれていること、動かすためにコンセントに挿すことを不便と感じずに当たり前に受け止めていたら、こうしたイノベーションは生まれません。今はコロナ禍で「トミカ博」「プラレール博」なども中止していますが、生身の人を集められなくても、デジタル技術を使って集客プラスアルファの効果を得る仕掛けは可能です。ビジネススタイルも、メーカーとしておもちゃを売って終わりとするのではなく、素材の選定・開発からお客様の手に渡った後までのエコシステムを構築することで、不要なおもちゃを廃棄せずに回収する、環境によりやさしいサイクルができあがります。おもちゃ作りでも、脱プラスチックに加え、非接触給電/充電の技術や、IoTを活用すれば、乾電池を使わないだけでなく、 新たな遊び方の提案など、タカラトミーならではのさまざまな可能性がもっと広がります。 -
Q 03
タカラトミーのガバナンスに対する評価を聞かせてください。
取締役会に限らず、私がこれまで参加したタカラトミーの会議体では大変活発な議論が行われています。取締役会に付議される議案も決議事項がメインで数も多く、社内取締役・社外取締役・監査役がそれぞれの知見から積極的に意見を発言する、開かれた雰囲気があります。富山会長を筆頭に、人の意見に耳を傾ける姿勢を全員が大切にされており、新任の私でも考えを述べやすい環境です。取締役会で「タカラトミーらしさ」を議論する場面もあったのですが、拠って立つべき原点を常に意識した経営をしていることはとても大切です。私はそこにもう少し多様性が加わるとさらに良くなると思います。社外役員にもオープンに情報を共有してくださいますが、社内の常勤役員に比べれば情報量に非対称性はあり、女性の社内役員がいないことは課題の一つです。社会のウォンツやペインに気づくためにも多様性は重要で、女性に限らず、外国人や障がい者など、さまざまな視点を巻き込む力を意識的に強化する必要があると思います。
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Q 04
最後にステークホルダーの皆さまに一言お願いします。
私自身は、自分の強みと弱みを意識しながらチームで動くことを得意としていますが、弱みを見せづらい上下の縦の関係より、相互に補完し合える横・横のフラットな関係の方が、対面していないオフライン状態でも、つながりを感じられるように思います。社員の方々を含め、ステークホルダーの皆さまとも、イコールパートナーの発想で関係を構築し、つながっていきたいと思います。