考え方
タカラトミーグループは、2023年8月、企業の人権尊重のグローバルスタンダードである「ビジネスと人権に関する指導原則」に則った人権方針を策定・公表しました。
私たちはこれまでも「タカラトミーグループビジネス行動指針(COBC)」や「CSR調達ガイドライン」を制定し、従業員、お取引先をはじめとするステークホルダーとともに、人権保護に配慮したバリューチェーンの構築を目指してきました。さらに「ビジネスと人権に関する指導原則」を踏まえ、タカラトミーグループ全体でより人権尊重を進めるため、改めて方針を明文化しました。
本方針策定にあたっては、タカラトミーグループの主要事業のバリューチェーン上の人権課題の網羅的な見直し、経営層による審議、全社グループ横断タスクフォースチームでの議論、外部専門家からの意見聴取を経て、優先的に取り組む人権課題を特定し、本方針の制定にいたりました。
今後は本方針を社内およびお取引先へ周知するとともに、すべての事業活動において遵守・実行してまいります。
方針
タカラトミーグループの人権方針をご紹介します。
タカラトミーグループ 人権方針(2023年8月制定、2024年6月改訂)
タカラトミーグループは、ONE TOMY’s Promise「誠意と努力は他を益し、自己の幸福の基となる」のもと、世界のさまざまな国と地域で事業を展開しております。「他を益し、自己の幸福」とは子どもたち、お客様、社員、株主、パートナー、社会との共存共栄の精神であり、人権の尊重はその基盤となるものです。タカラトミーグループは、事業に関わる人々の人権を尊重し、人権侵害を直接的に引き起こす、あるいは助長することがないよう、人権課題への感度を高め、対処に努めることをここに宣言します。
本方針は、タカラトミーグループ理念に基づき、人権尊重への取り組みについての約束を社内外のステークホルダーに向けて明確に示すものです。
国際人権基準の尊重
タカラトミーグループは、「国際人権章典(世界人権宣言と国際人権規約)」、をはじめとする以下の国際的な人権基準を支持、尊重します。
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国際人権章典:全ての人が享受すべき基本的な権利を規定。
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労働における基本的原則および権利に関する国際労働機関(ILO)の宣言:労働における基本的権利を規定。
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ビジネスと人権に関する指導原則:「人権を保護する国家の義務」、「人権を尊重する企業の責任」、「救済へのアクセス」の3つの柱から構成される全ての国と企業が尊重すべきグローバル基準。
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経済協力開発機構(OECD)多国籍企業ガイドライン:OECD加盟国をはじめとする多国間で合意された企業の責任ある行動に関する包括的な行動指針。
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国連グローバル・コンパクト10の原則:国際的なサステナビリティイニシアティブである国連グローバル・コンパクトが掲げる人権の保護、不当な労働の排除、環境への対応、そして腐敗の防止に関わる10の原則。
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子どもの権利とビジネス原則:子どもの権利を尊重するためにすべての企業がとるべき行動を規定する10の原則。
また、事業活動を展開する国と地域において、それぞれの法律、規則を遵守します。万が一現地の法制度と国際的な基準との間に乖離があった場合、タカラトミーグループ理念や本方針のもと、現地の関係者との対話・協議を重ねて適切に対処します。
適用の範囲
本方針は、タカラトミーグループの全役員と、パートタイマー・契約社員・派遣社員を含む全従業員に適用します。また、事業・製品・サービスのバリューチェーン全体に渡る全てのお取引先に対し、本方針にご理解いただくように努め、同様の遵守を求めます。
推進体制
タカラトミーグループの人権デュー・ディリジェンスを含むサステナビリティについては、代表取締役社長が最高責任者として統括しています。タカラトミーグループは、サステナビリティ経営を、これまで以上に積極的に推進するため、2024年7月より、代表取締役社長の諮問機関として「サステナビリティコミッティ」を設置し、サステナビリティ課題への取組みを実行してまいります。サステナビリティコミッティではグループのサステナビリティに関する取組みを総合的に把握し、広範囲かつ多様な見地から課題や取組みの方針性について審議いたします。中期サステナビリティ目標・KPIのうち、特に横断的な取組みが必要なテーマでは、サステナビリティコミッティが統括するテーマ別タスクフォースを設置し、担当執行役員とグループ横断の多様なメンバーによって、取組みの実行・推進・新たな提案をしてまいります。テーマ別タスクフォースの進捗は、年に2回開催するサステナビリティコミッティにて報告され、サステナビリティコミッティでの指示・モニタリングを通じて取組みの強化を図ってまいります。サステナビリティコミッティで議論された内容は、必要に応じて取締役会または常務会に報告・具申を行います。
なお、人権関連の課題は「人権デュー・ディリジェンスタスクフォース」で議論し、推進しております。
開示
タカラトミーグループでは、人権尊重の取り組みについて、タカラトミーグループのサステナビリティウェブサイト、アニュアルレポート等媒体にて定期的に報告いたします。
役職員の研修と教育
役員を対象とする勉強会、すべてのグループ役職員を対象とする研修、お取引先向け説明会での本方針の周知など、グループ全体での周知・教育を行います。
優先的に取り組む人権課題について
タカラトミーグループは、自社事業・バリューチェーンに係る潜在的な人権リスクを洗い出し、そのリスクの発生可能性と人権への影響の深刻度によって優先的に取り組む人権課題を特定しました。
優先的に取り組む人権課題について
タカラトミーの 人権重要分野 |
特に重要な 潜在的人権リスク |
対象とする 主なステークホルダー |
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サプライチェーン 地域社会 |
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職場環境・労働環境 |
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マーケティング・ 広告宣伝おける表現 |
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商品やサービスの 安全・品質 |
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ステークホルダーとの関わり
タカラトミーグループはステークホルダーとのエンゲージメント(建設的な対話)を重視し、透明性の確保と責任ある対応に努めます。今後も外部の専門家を含め、ステークホルダーとの対話を行いながら、人権デュー・ディリジェンスの取り組みを推進いたします。
救済措置および苦情処理
タカラトミーグループでは、事業活動に関する懸念を通報できるタカラトミーグループホットライン(内部通報制度)を設けています。通報があった場合、その内容は「リスク/コンプライアンス委員会」事務局に報告され、調査、救済策の検討、関連部署への是正を要請しモニタリングを行います。尚、通報者のプライバシーは保護され、通報を理由に通報者に不利益を与える行為は一切禁止しています。
事業およびサプライチェーン上の人権侵害にかかわる事案や問題を容認または黙認せず、申し立てを真摯に受け止め、適切な対応をすべく救済、是正措置を講じます。
方針の見直し
タカラトミーグループ は、今後も人権の取り組みを強化するため、本方針を定期的に見直し、改善していきます。
株式会社タカラトミー
代表取締役会長 CEO 小島 一洋
代表取締役社長 COO 富山 彰夫
方針策定プロセス
タカラトミーグループの事業が人権に影響を及ぼすと認識し、特に重要な潜在的人権リスクをを特定・重要性を評価したうえで、タカラトミーグループの創業理念、企業理念に基づき、タカラトミーグループ人権方針を策定しました。
Step1 課題の整理
バリューチェーンプロセスの活動項目ごとに、リスクを抽出
様々な視点でリスクを洗い出し
- 外部環境分析
- 役員勉強会ワークショップ
- 関連部門ヒアリング
Step2 特に重要な潜在的人権リスクの特定
特定した人権リスクについて、
①影響が生じる可能性、
②潜在的な影響の深刻度の2軸で仮評価し優先度付け。
その後、関連部門および外部による優先度調整。
Step3 人権方針の策定
取締役会における決議。
特定した人権リスクと対応
タカラトミーグループでは、特に重要な潜在的人権リスクを以下のように特定しました。今後、外部および内部環境の変化に応じて、定期的な分析・見直しと、人権デュー・ディリジェンスプロセスを実施してまいります。
タカラトミーの 人権重要分野 |
特に重要な 潜在的人権リスク |
対象とする 主なステークホルダー |
対応策 | 継続的な リスク評価の方法 |
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サプライチェーン 地域社会 |
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職場環境・労働環境 |
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マーケティング・ 広告宣伝おける表現 |
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商品やサービスの 安全・品質 |
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タカラトミーグループでは、サプライチェーンにおいて児童労働や強制労働を排除すること等を確認しています。また、人種、宗教、性別、性的指向、年齢、国籍、障がい等の多様性に配慮しています。
また、潜在的人権リスクへの対応のみならず、ユニバーサルデザインの取り組み(共遊玩具)、従業員のスキル・キャリアアップ支援、子どもたちへの次世代支援教育などの当社グループの事業活動を通じて、人権にポジティブな影響を与えられるような取り組みも引き続き行ってまいります。
取り組み事例
人権を保護するための仕組み
タカラトミーグループでは、従業員の人権を保護するための通報システムとして、タカラトミーグループホットライン(内部通報制度)を設けています。
タカラトミーグループホットラインの利用対象者は、タカラトミーグループの役員および従業員(タカラトミーグループ出向社員、契約社員、嘱託社員、パート・アルバイト、派遣社員、退職者を含む)です。通報窓口には、①
Web による通報窓口、② タカラトミーグループの担当者、③
弁護士等の外部通報先の3つがあります。内部通報を受けた通報窓口は、「リスク/コンプライアンス委員会」事務局にその内容を報告し、事務局は内部通報を受付けた日から20日以内に通報案件に関する調査の要否・調査方法を含めた対応方針を決定し、通報窓口に対応方針を連絡します。尚、通報者のプライバシーは保護され、通報を理由に通報者に不利益を与える行為は一切禁止されています。
タカラトミーグループホットラインを周知するために、事業場に啓発ポスターを複数掲示すると共に、携帯用カードをタカラトミーグループの役員および従業員に配布しています。
また、内部通報制度の運営状況については、「コンプライアンスを考える日」において全従業員にフィードバックされ、改めてタカラトミーグループホットラインの通報窓口についての周知を行なっています。
人権に関する研修
タカラトミーグループでは、国内幹部職および一般社員向けのメンタルヘルス対策や、研修にセクハラ・パワハラに関する項目を盛り込むと共に、ダイバーシティの浸透を図るために、役職員にハラスメントに関する研修やeラーニングを実施するなど、ハラスメントの防止に努めています。また、「タカラトミービジネス行動指針(COBC)」のeラーニングによる研修では人権に関する項目も含まれており、全従業員が毎年受講し、宣誓を行います。さらに年に1回開催される「コンプライアンスを考える日」では、法令遵守に加えて、人権の尊重に関する取り組みについても従業員と共有しています。
英国現代奴隷法の対応について
タカラトミーの海外グループ会社TOMY UKは、英国で施行された2015年現代奴隷法に係る声明を2016年に公表しました。本声明は、自社およびそのサプライチェーンにおいて、奴隷労働や人身取引などの防止を目的とするものです。TOMY UKでは方針やデュー・ディリジェンスを定め、現代奴隷防止に関する取り組みを推進していきます。
下記リンクより、声明文をご確認いただけます(2019年6月更新版)
外部イニシアチブ
タカラトミーグループは、国際社会が持続可能な成長を実現するための世界的な枠組みである
「国連グローバル・コンパクト」への参加を表明しました。
サプライチェーン全体を通じ、グローバル・コンパクトが掲げる「人権」「労働」「環境」「腐敗防止」からなる
10原則の実現に向け、取り組みを推進していきます。
国連グローバル・コンパクト10原則
人権 |
原則1: 人権擁護の支持と尊重 原則2: 人権侵害への非加担 |
労働 |
原則3: 組合結成と団体交渉権の実効化 原則4: 強制労働の排除 原則5: 児童労働の実効的な排除 原則6: 雇用と職業の差別撤廃 |
環境 |
原則7: 環境問題の予防的アプローチ 原則8: 環境に対する責任のイニシアティブ 原則9: 環境にやさしい技術の開発と普及 |
腐敗防止 |
原則10: 強要・贈賄等の腐敗防止の取り組み |