ECサイト「e組」を限定商品で活性化させ、
会社を支える柱を目指して進化させていく。
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タカラトミーアーツ
FV企画部 ぬいぐるみ企画課
Masayoshi Goto
五島 誠善
2012年入社 生産工学部 管理工学科
トイ事業部やぬいぐるみ事業部のマーケティング担当を経て、現在はFV事業部ぬいぐるみ企画課の課長を務める。本プロジェクトを会社の成長につなげる第一歩ととらえ、統括役としてメンバーをまとめた。
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タカラトミーアーツ
FV営業部 マーケティング課
Kana Kurosawa
黒澤 果奈
2017年入社 国際関係学科
「子どもに関わる仕事」「自分らしくいられる会社」をキーワードに就職活動を展開した結果、タカラトミーアーツに入社。以来、マーケティング業務に従事する。本プロジェクトでもマーケティングを担当。
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タカラトミーアーツ
FV企画部 ぬいぐるみ企画課
Natsumi Endo
遠藤 夏美
2015年入社 グラフィックデザイン科
バラエティ玩具の企画開発を経て、2016年から現部署にてぬいぐるみの企画開発に従事。もともとe組の強化拡充の必要性があると感じていたため、自ら手を挙げて商品企画担当としてプロジェクトに参加。
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タカラトミーアーツ
FV企画部 ぬいぐるみ企画課
Ai Nishihara
西原 愛
2009年入社 服飾学科
入社以来、ぬいぐるみの商品企画業務に従事。さまざまなキャラクターの企画提案・商品開発を手掛けてきた。本プロジェクトでは、商品開発担当として五島から声がかかり、参加することになった。
Introduction
様々なキャラクターを、ぬいぐるみやカプセルトイとして商品化・販売しているタカラトミーアーツ。同社は、コロナ禍によって消費者の購買行動が変わったことを受け、自社のECサイト「e組」の強化拡充に踏み切った。プロジェクトを推進した4名の社員に、取り組み内容や苦労、上げられた成果について語ってもらった。
それぞれの想いを胸にメンバーが集結する。
コロナ禍の深刻度が増した2020年春、タカラトミーアーツの経営陣は、従業員に「やってみたい挑戦」について意見を募集した。「そのなかのひとつが、『e組』の強化拡充です。従前より当社専用のECサイトとして運営されていましたが、コロナ禍で買い物に出かけづらくなった今こそサイトの存在意義を高めるべきという意見が出て、実行に移すことになりました」――こう語る五島が統括役に任命され、メンバーを招集した。マーケティング担当として声がかかった黒澤は「既存の実店舗経由のビジネスでは実現が難しい商品も扱えそうなので、これは面白そうだぞと思いました」という。また、商品企画担当の西原は「五島から『1年くらいは失敗が続いても大丈夫』と言ってもらえたので、肩の力を抜いて参加できました」と当時を振り返る。前出の2人はスカウトだったのに対し、商品企画と業務フロー構築を兼務した遠藤は、自ら手を挙げて参加した。「プロジェクト実施前にe組向けの商品企画を担当したことがありましたが、年に数回、限定品を売り出すだけでした。常々、せっかくサイトがあるならもっと商品のラインナップを増やすべきだと思っていたので、メンバー募集の社内告知を見て、すぐに参加を申し出ました」
新シリーズの立ち上げに向けて始動。
こうしてメンバーが集まると、まずは強化の内容や方法について協議が始まった。新たなe組では、サイト限定の新商品を販売することで方針が固まる。マーケティング担当の黒澤や商品企画担当の遠藤・西原は、コロナ禍によって誰もが家で過ごす時間が増えていることに着目した。遠藤は次のように言う。「癒しや安心感を提供するアイテムとして、人気の『すやすやフレンド』や『もっちぃもっちぃ』をビッグサイズにした『すやすやフレンド おうちでリラックスシリーズ』を新たに立ち上げることにしました」。これに黒澤が続ける。「この商品は、大きな抱き枕くらいのサイズです。持ち運びの大変さを考えれば、まさにネット通販だからこそ扱える商品でした。私としては、声をかけていただいた際に感じた“面白そう”を、さっそく実体験できました」。西原は、丸2カ月かけて第一号商品の開発・サンプル制作にあたる。「ネット販売のみなので、お客様は実物を見て検討することができません。このため、画像を通じて商品コンセプトを直感的に理解していただけるよう、撮影にはいつも以上に細かな部分までこだわりました」。10月にはECサイトをリニューアルし、翌11月からはいよいよ商品の予約受付を開始した。
それぞれが壁に直面し、乗り越えていく。
メンバーはそれぞれ苦難を味わう。マーケティング担当の黒澤の場合、「販売店様を通さないため、いつも以上に情報発信に注力する必要があります。例えばSNSを通じて発信しても、期待どおりに拡散せず、売上が伸びなかったこともありました。企画や提案のクオリティが高くなければ消費者には響かないという点を痛感しました」。また、商品企画の西原は、「担当商品の受注が思うように伸びず、赤字になってしまったこともありました。いかに情報発信が大切かを痛感しましたね。先に触れたとおり『失敗してもいい』と言っていただけていたことが救いでした」と振り返る。同じく商品企画の遠藤は、ECサイトの運営、広報、営業、生産など、社内外の関係者が多い点に苦労した。「『あの部署がやってくれているハズ』と待っていたら、相手は別の部署が担当だと思っていたことが発覚するなど、行き違いが少なくありませんでした。そのため、定型フォーマットをつくったり、『誰が』『いつまでに』『何を』やるのかの確認を徹底するなどで業務フローを構築していきました」。一方で、統括役の五島は、特に苦労はなかったと笑う。「失敗の責任は私がとると伝えつつ、各自に任せていましたから。スタート当初から、それぞれがトライアンドエラーを通じて教訓を得つつ、1年後に成果を上げられる体制を整えてくれればいいと思っていたのです」
メンバーは、すでに先を見据えている。
まさに五島の期待どおり、メンバーは試行錯誤を繰り返しながらもヒット商品を生み出し、世に送り出していった。2021年の年間売り上げは、対前年比で約10倍にもなったという。しかし、メンバーは歩みを止めない。黒澤は「今はまだ、サイト限定商品しか扱えていませんが、もっと多くの自社商品をe組で扱えるように拡大していきたいですね。少し考えただけで多くの課題やハードルが思い浮かびますが、本気で取り組めば必ず実現できるはず」と意気込む。遠藤はポストコロナを見据える。「これまでは“おうち時間”に焦点を当てたシリーズが当たりましたが、コロナ禍が落ち着けば、消費者のニーズや興味の対象は変わっていきます。トレンドを敏感にキャッチして、次なるヒットシリーズを生み出したいですね」。西原は「今では、多くの社員がe組向けの商品開発に取り組むようになっています。ラインナップが増えていくなかでは、タカラトミーアーツオリジナルのぬいぐるみをつくってみたいと思っています」。最後に、プロジェクトを五島に総括してもらった。「冒頭で、社員の『やりたい』『やるべき』という想いがプロジェクトのベースだったと言いました。タカラトミーアーツには、現場の声をアクションにつなげるという風土が前々から根付いています。e組の成功で刺激を受けた各社員が、さまざまなアイデアを発信し、経営陣が吸い上げていけば、おのずと会社の成長につながると思います。」
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