キーワードからさがす
発売日 | 2022年1月下旬発売 |
---|---|
メーカー希望小売価格 | 4,400円(税込) |
対象年齢 | 6歳以上 |
ゾイドワイルドの
TVアニメゾイドワイルドZEROの
スナイプテラ インペリアルガードのカラーリングは
塗装箇所は主に頭部と翼のアーマーパーツ。頭部のガンメタリックや翼のホワイトブルーの塗装は細部にもこだわり、劇中に近いイメージに。
共和国領空
帝国の新型ゾイド、量産型スナイプテラのテストが行われていると言う情報を得た共和国は、3機の開発中であったプロトタイプ機による部隊を帝国領に向かわせた。
「隊長、本当にこんな砂漠地帯で帝国の新型テストが行われているんですか?」
共和国の新型ゾイドパイロットが言った。
「ああ、間違いない帝国軍に送り込んでいる諜報員からの確かな情報だ」
新型機を任された精悍な顔つきをした隊長が答える。
「我々のこの機体もまだ3機しか発掘できていないテスト機だ、敵のスナイプテラは機動力が高い機体と聞くが恐れることはない、このソニックバードの方が機動力は上だ」
まだ正式配備ではない開発中のグレーの装甲を付けただけのプロトタイプソニックバード編隊が帝国領土に入ろうとしていた。
「さぁ、そろそろ帝国領に近い、各機作戦行動に移行しろ!」
一気に加速すると垂直上昇に近い角度で上空に展開するソニックバード編隊
砂漠地帯帝国軍仮設基地
共和国との紛争が拡大する中で帝国は新たなゾイドの量産テストを行っていた。
赤き死神と呼ばれる帝国きってのエースライダー、クリストファー・ギレル中尉の乗るスナイプテラによる共和国一個師団の壊滅、帝国はこの成果を高く評価した。空中からの高い機動力による攻撃は今後の戦局に大きな成果が期待できる。帝国はランド博士により量産型のスナイプテラを開発し実戦配備を急いでいた。
仮設基地のカタパルトから2機のスナイプテラが発進すると上空に舞い上がり先行した隊長機のスナイプテラの後方で編隊を組む。
「マニノフ中尉、さすがにいい腕だ!そのまま旋回行動に移れ!」
「はい隊長!」
「二番機遅いぞ!メルビル少尉、編隊行動まで二秒ほど遅れている!」
「すみません機体が不安定で……」
「メルビル少尉、これが実戦ならそんな言い訳は通じないぞ!」
メルビルに厳しく当たるアークに対してマニノフ中尉が通信に口をはさむ
「まぁまぁアーク隊長!メルビル少尉の機体、出撃前からブースターの出力が安定せず何かとじゃじゃ馬っぽいところがあるみたいで……まぁメルビルっぽくて良いと思うんですけど」
「いったいどういう事ですか!?マニノフ中尉!私はじゃじゃ馬などでは」
二人のやり取りを聞き苦笑するアーク大尉
「確かにマニノフの言う通りかも知れないな、そのスナイプテラはお前にお似合いの機体かもしれん」
「隊長まで!そのような事……」
二人からからかわれ恥ずかしそうに困り顔になるメルビル。
士官学校時代にメルビルの教官も務めたことがあるマニノフ中尉は、実戦での功績が認められスナイプテラの配備とともにインペリアルガードへの転属が決まっていた。またゾイドのテストパイロットで操縦の講師として何度も教壇にてその姿を見たアーク大尉はメルビルにとっても旧知の仲で気心も許せる存在であった。
「よしテストを続けるぞ!二人とも最大加速で下降して左右に展開!再び編隊行動に戻れ!」
アーク大尉の指示のもと、順調にテスト飛行を繰り返すスナイプテラ。
地上では基地と呼ぶにはあまりにお粗末な仮設施設でその飛行を見守る帝国技術者が隣に座る大きな髭を蓄えた科学者に語り掛けていた。
「ハンナ・メルビル少尉……まだ士官学校を出たばかりの新兵か、彼女にスナイプテラは荷が重いのではないですか?」
メルビルの乗るスナイプテラの動きが数秒遅れている事を気にした技術者が隣りの科学者に言った。
「ふんっ……お前にはその程度しか見えてないのか?モニターの出力ゲージをよく見ろ!不安定な機体よく乗りこなしておる」
技術者の嫌味を一笑すると、再び空を見上げる科学者
フランク・ランド博士、スナイプテラの先行量産型パイロットにハンナ・メルビルを指名したのは他でもないランド博士であった。
「発掘されたゾイドも復元すれば個体差というものでてくる、全てのゾイドが同じではない。同じプテラノドン種も機体ごとの個体差がある」
「しかし、だからこそ博士のバイザーによる制御がされているのではないですか?」
博士の言葉に不思議そうに問いかける技術者
「バイザーが全てではないのだよ……ゾイドの持つ野生の力、その個体差でもある生物としての性格は全てが制御できるものではない。そんな事もわからず技術者をやっているとは帝国技術者も質が落ちたものだな……」
基地でモニターされているスナイプテラの出力モニターではメルビルの乗る二番機だけ急に出力が上下したパワーカーブを表示していた。
一見しただけではメルビルの操縦による無駄な動きに見えたであろう出力の上下は彼女の乗るスナイプテラの性格という個体差による動きであるとランド博士だけは理解していた。その上でそれを乗りこなしているメルビルの操縦を評価していた。
「メルビルは……あの機体を乗りこなせるはずだ、その力があるのだよ……」
博士がふと独り言を発した時だった。仮設基地にアラートのサイレンが鳴り帝国兵が走りこんできた。
「緊急!共和国軍の機体が接近との報告あり!全軍テストを中止して撤退するよう命令が出ました!ランド博士ここは危険です急ぎ退避を」
緊急通信はテスト飛行をするスナイプテラ小隊にも届いていた。
「一体どういうことだ!?まさかこんな辺地にまで共和国軍がくるなんて、目的は……まさか!? このテストを狙って…!?」
驚くマニノフ中尉にメルビルが割り込む
「アーク隊長!このままでは基地の撤退が間に合いません!撤退の時間を稼げるまで我々で防衛任務に行きましょう」
「まて!マニノフ中尉はまだしもお前はまだ戦闘任務は、未経験の身だ!マニノフ中尉について先に撤退行動に移れ!敵機は俺がなんとかする!」
メルビルへ基地への帰還を命じるアーク大尉であったがメルビルは自分も任務に参加させてほしいと悲願する。
「しかしそれでは……私とて帝国軍人です!このまま敵を前に逃げ出すなど……」
地上で、スナイプテラ小隊の通信を聞いていたランド博士が通信に割り込んでくる。
「アーク大尉、いいではないか……メルビルも連れていけ!ここで戦闘となるとは想定外だが、よいテストになる」
全軍撤退指示が出された基地からランドの通信に驚くメルビル
「 博士!早く退去してください、そこは危険です」
「なにを言っておる、その危険を回避するためにお前たちがいるのだろう」
マニノフが会話に入ってくる
「博士任せてください!メルビルは俺がお守りしますよ!まぁ黙って守られるメルビルじゃないですが……」
やれやれと言った様子で、仕方なく諦めて各機への指示をするアーク大尉
「マニノフ、メルビル後方からついてこい!ただし無理はするな、出来るだけ交戦は控えろ!ただ基地の撤退する時間が稼げればいい、まだ初飛行のスナイプテラを……同時に自分の命を一番に考えろ」
「はい!」
アークの言葉と同時、3機のスナイプテラは再び編隊を組むと敵の侵入方向に向かって飛び立っていく
2機を従えた隊長機のコクピットでアークは難しい表情をしていた。
「こんな事態になるとは……なんとか無事にメルビルを帰還させられれば…‥」
基地から10キロ程度離れたところで、スナイプテラのレーダーに敵機が確認された。
「機体確認!こいつは!? 敵も飛行タイプですぜ隊長!共和国も飛行タイプの開発に成功しているのか‼」
マニノフの通信に黙ったままレーダーを見つめているアーク
「隊長!?どうしたんですか……このまま迎撃態勢に移行しないと」
「あ、あぁすまない……まだだ、敵の攻撃意思がハッキリしない、しばらく様子を見てこのまま防衛体制で距離を詰める」
敵への攻撃を躊躇うアークの指示に不安を覚えるメルビルがアークに進言する
「しかしそれでは敵に先行される恐れがあります!敵機こちらの攻撃距離まで後700メートルです!先行して攻撃の指示を!」
その時であった。戸惑うスナイプテラ小隊に敵のソニックバードから通信が入る。
「こちら共和国特殊遊撃隊、隊長のチャック・イエーガーだ、新型機のパイロット、大人しく投降すればこちらも攻撃はしない」
ソニックバードからの通信を聞いて切れるマニノフ中尉がアークに言う
「隊長!あいつら一体何様だ、俺達を舐めているのか?あんな機体!スナイプテラの敵じゃねぇよ!」
そう言うと編隊から外れ単独で威嚇行動にでるマニノフのスナイプテラ
それを見たアークが言う
「待て!マニノフ、無駄な争いはやめろ、ここは相手の言う通り大人しく投降すれば基地の安全は保障される」
しかしアークの言葉を遮ると敵に向かうマニノフ
「隊長!一体どうしちまったんだ?今なら先行して攻撃できるチャンスだぜ!」
編隊から飛び出したマニノフのスナイプテラが共和国のソニックバードをターゲットに捉えると左右のウイングについたフォースバレルガトリングを発射する。マニノフの攻撃は確実に敵を捕らえた。翼を討たれ地上に落ちていくソニックバード。マニノフの攻撃をきっかけに、共和国軍隊長から再び通信が入ると同時に空中での戦闘が始まることとなった。
「どういうことだ!そちらが敵対行動に出るならこちらも容赦なくやらせてもらう!」
一気に戦闘態勢となるとスナイプテラめがけて攻撃を開始するソニックバード
状況が掴めないメルビルにアークから通信が入る。
「メルビル、お前は基地に戻り撤退を開始しろ!お前までここにいる必要はない!」
アークからの指示に混乱するメルビル
「どうして………。とにかく今は敵機の迎撃を優先します!」
ガトリングで牽制しつつ左に大きく旋回し、ソニックバードの攻撃を交わし相手との間合いを詰めるメルビル、しかし機動性の高いソニックバードに背後に迫られる。
「貴様!てこずらせやがって!!力ずくで機体を奪ってやる!!」
「敵に背後を取られました!!援護をお願いします!!……」
しかし、メルビルからの通信は味方の2人には届いていなかった。つながっていたはずの通信回線が遮断されている。
「そんな…!!よりによってこんな時に!!あんた通信機能まで気まぐれなの!!?」
その直後に背後から浴びせられた無数の砲撃が機体をかすめた。
「もう!!勘弁してよ!!」
敵の攻撃をかわすメルビルだが変わらず不安定なスナイプテラの動きでは背後につかれたソニックバードを振り切れないでいた。
「あの機体!スナイプテラより機動力が上だと言うの!?」
敵を振り切りたいメルビルであったが、出力が安定しないままのメルビルのスナイプテラは急にエンジン出力がダウンするとスピードが落ちていった。
2機のスナイプテラに挟まれる格好になるメルビル。
「こ、こんなところでまた不安定に……スナイプテラお願い言う事をきいて」
メルビルの懇願が実を結んだのか、突如通信回線が復帰した。
メルビルのスナイプテラの目の前に進化開放したソニックバードのAZウイングソードが放つスカイスラッシュが迫っていた。
「これで終わりだ!帝国兵!」
絶体絶命の状況に置かれたメルビルの前にマニノフのスナイプテラが割り込んでくる。
「メルビルそこをどけー!」
絶体絶命であったメルビルのスナイプテラに体当たりするとその場から弾き飛ばし、同時にマシンブラストしてAZスナイパーライフルをソニックバードに放つマニノフ
マニノフの正確な射撃は、ソニックバードの胴体を貫いた。ソニックバード1機を撃ち落とすと同時に鮮やかな動きで大きく反転し再びもう一機に攻撃態勢に移った。
「言っただろメルビル!お前は俺が守るって……教え子に先立たれちゃこの先一生寝心地が悪くなるぜ」
「マニノフ中尉……ありがとうございます」
吹き飛ばされ体制を崩した状態から機体制御を戻そうと操縦桿を握りしめスナイプテラのコクピットからマニノフ機を確認するメルビルであったが、次の瞬間その目に信じられない光景を見ることになる。
マニノフのスナイプテラが旋回し再び残り1機のソニックバードをロックオンした瞬間だった……
攻撃態勢を取っていたはずのマニノフのスナイプテラが、どこからか発射された赤い閃光に打ち抜かれ、煙を出しながら地上に落下していった。
ソニックバードを追うマニノフの背後からアークのスナイプテラによる攻撃がマニノフ機を打ち抜いた。
「マニノフ中尉! マニノフ中尉!」
呆然とするメルビルにアークからの通信が入る。
「だから撤退しろと言った……私だってお前達を討ちたくはない、お前たちが言う事を聞かないから、こんな……こんなことに」
翼を打ち抜かれたマニノフのスナイプテラが地上に落下していくのが見える。
「あはははは、よくやった! 間一髪だったが、即興の作戦がうまくいったな!!」
イエーガーが誰に話しかけているのか、メルビルには分からなかった。
「もう少し時間を稼いでもらえるかと思ったが…。」
「ふんっ! うまく仕留められたんだからいいじゃねえか。腕の立つパイロットがいるもんだな、そっちには。さて、その機体を共和国に持ち帰るとしよう、アーク大尉!」
共和国への内通者はアークであった。
新型機であるスナイプテラを土産に自分一人共和国に亡命する手立てを準備していた。このエリアでのテスト情報を共和国に流し、共和国の突然の攻撃に合わせ出撃したスナイプテラごと共和国に逃げる作戦でいた。
しかし自分一人での出撃とならずマニノフとメルビルが戦闘へ参加となったことは、アークにも想定外の出来事であった。
そこで、マニノフにソニックバードへの攻撃をさせ、後ろから撃ち抜く作戦を、あの通信障害が起きた時にアークはイエーガーに伝えていたのだ。
通信障害はアークの仕業だった。メルビルはやっとこの状況を理解した。
「アーク隊長……いやアーク! 帝国を裏切ったのか! 帝国軍人として恥ずべき行為を……何故だ何故マニノフ中尉を討った! 彼はあなたを慕っていた。こんな事許されると思っているのか!!」
吹き飛ばされ下降したスナイプテラを再び上昇させるメルビル。
しかし安定した出力がでない機体で機動力が足りていない。
そんなメルビルのスナイプテラに容赦なくソニックバードの2連速射機関銃が浴びせられる。
「ごめんね…、スナイプテラ。通信が遮断されたのは、あなたのせいじゃなかった。こうなったのも、未熟な私のせいね…。」
裏切られた悲しみと悔しさ、そして何よりも、不甲斐ない自分への怒りで、声が震えていた。
「……でも、絶対にあいつには負けられない!! スナイプテラお願い、力を貸して!!」
操縦桿を握りしめるメルビル。
同時にメルビルの駆るスナイプテラのエンジンが最大加速で点火すると一気に上空まで加速した。
「こいつ!? 今までと動きが違う! 急に良くなりやがった」
一瞬の加速でその場から上空に舞うスナイプテラを見た共和国兵は驚きを隠せなかった。
それはコクピットのメルビルも同様であった。
「スナイプテラ……行くよ!」
一気に上昇したメルビルがソニックバードを狙う。しかしアークの乗るスナイプテラのミサイルにより邪魔をされ狙いが定まらない
「くっ…邪魔ばかり。絶対に逃がさない!!」
「メルビルこれ以上無駄な戦闘は辞めろ! 黙っていかせてくれ……それで全て終わりだ」
しかしアークからの通信に声を荒げるメルビル
「何が無駄なのですか! あなたに落とされたマニノフ中尉の命も無駄だったという事ですか!?」
湧き上がる怒りと共にスナイプテラを加速させるメルビルであったが
士官学校時代にマニノフから言われた事が一瞬頭をよぎる。
「メルビル、お前は意外にも分かりやすい性格をしているな、直ぐに表情に出る所がある……」
「まぁゾイドだってそうだ! 乗り手の想い、そういった感情が彼らには伝わってる……分かっているんじゃないか? 俺はそう思う時があるんだ、お前にもそれがわかる日が来るさ、あいつらもただの機械なんかじゃない、だから俺達が一緒に乗るのさ」
ふとマニノフの言葉を思い出し、我に返るとコクピットで操縦桿を握り直したメルビル。
「そうだよね……あなたも分かってたんだよね。私の不安や焦りが」
そうスナイプテラに語り掛けると落ち着いた表情を取り戻したメルビル
スナイプテラが大空を舞うように飛ぶ
それを見たアーク
「あの動き……スナイプテラの機動が変わった! メルビルお前は……」
ソニックバードとアークのスナイプテラ、2機の攻撃をかわしまるで2機を翻弄するかのような華麗な動きで反撃体制に入るメルビル。
ソニックバード隊長機は、メルビル機の動きを見てこれ以上の戦闘行為は危険と判断し、最大加速でその場から撤退を開始する。
それに続き転回しようとしたアークの前にメルビルが追い付く。
ホバリング飛行をしながら向かい合う2機。
「これ以上の抵抗は辞めて投降してください、アーク! 私もあなたを討ちたくない!」
「言ってくれる……お前に何がわかる!帝国は、ランドは俺たちをまるで物のように扱いゾイドに乗せた! 俺は今まで何人ものテストパイロットがゴミとして扱われるところを見てきた!」
「これ以上帝国で無駄な命を流すことに意味なんてない! お前にだってわかるだろ?だからこそ今、その機体を乗りこなしている」
「博士だってこの戦争を早く終わらせたいから……だからあなただって」
「そのランドのおこないを終わらせなくちゃいけないんだよ! メルビル‼」
「……わかってくれないんですね」
メルビルは覚悟を決め、操縦桿を強く握りしめた。
同時にアークとメルビルの二人が叫んだ。
「マシンブラスト!!」
2機のアブソルートショットが放たれ、赤い閃光が交差する。わずかに判断が遅れたメルビル機をめがけて放たれたアブソルートショットがメルビル機のA-Zスナイパーライフルを直撃し、破壊した。
口から吐き出される大量の黒煙で、メルビルの機体が覆われる。
「メルビル、これで終わりだ!」
黒煙に向けて、フォースバレルガトリングから放たれる砲弾の雨。
「悪く思うな、メルビル…。」
黒煙が大爆発を起こし、砲弾の雨は止んだ。
「お前が、私に敵うはずないだろう…。」
アークはソニックバードを追い加速しようとしたが、大爆発によって引き起こされた黒煙が辺りに充満し、アークの視界を奪った。
「くっ、煙が多すぎる…。いや……この量はおかしい、まさか!!?」
「アーク!!」
メルビルの機体は、アークの頭上にいた。
黒煙でメルビルの機体が覆われたとき、瞬時の判断でスマートボムを射出し、アクロバット飛行で最大速度で加速して、上空からアークを捉えていたのだ。
アークが頭上を見上げた時には既に、ミサイルとガトリングの砲撃を躱すには手遅れだった。
「くそおおおぉぉ!!!!」
アークのスナイプテラは破壊され地上に落下していった。急ぎもう1機の敵機影を探すメルビルだったが、共和国のソニックバードはすでにその戦場から飛び去りレーダーの範囲外であった。
静まり返った空を飛ぶメルビルのスナイプテラ
噓のように機体は安定し、メルビルの思うままに空を舞っている。
「ありがとう……スナイプテラ。」
基地に帰還するスナイプテラを地上から確認していたランド博士が技術者に言う
「だから言っただろう……メルビルなら乗りこなせると、あれはそういう子なんだよ……」
「マニノフ中尉、すべて終わりましたよ」
丘の上に掲げられた墓標の前に立つメルビルは、マニノフ中尉との最後の飛行の時のこと、そしてマシンブラストユニットを破壊され一時はスクラップの対象となったスナイプテラが、その飛行性能の高さを活かした機体へと改良されて自らの元に帰ってきた時のことを思い出していた。
「あれからもう2年か…。いろいろあったね、スナイプテラ。」
「これからも、私と一緒に空を飛んでくれるかな…。」
メルビルの想いに応えるように、スナイプテラの咆哮が夕焼けの空に響き渡った。
ハンナ・メルビル
新兵ながら優れたゾイドライダーでランド博士の助手。
元々は孤児であり、幼少期に博士に引き取られ、以後娘として育てられ、ゾイドに関する教育を受け続けたことにより、ゾイドの修理及び整備を得意としている。
実は帝国の先代皇帝の娘(現皇帝フィオナの異母姉)で、先代の皇帝から受け継いだゾイドを従える特殊な力も持つ。