夢限少女杯カバレージ準決勝

わっく選手 VS hyakko選手

今年10周年を迎える『ウィクロス』。その歴史の中で、「最強」に近いプレイヤーを1人挙げるとすれば、このわっく選手ではないだろうか。
第3回世界大会優勝を筆頭に、ディーヴァグランプリ3rd優勝、同5th3位……。ウィクロスセレモニーの入賞回数は恐らく3桁回は下らない、圧倒的な実績と強さを持つプレイヤーだ。

今回も優勝候補の一角ではあるが、最近は彼自身の環境の変化もあり、セレモニーに足を運ぶことが、物理的に難しくなってきた中での夢限少女杯だった。その中でも予選をきっちり勝ち残り、この準決勝まで駒を進めてきたのは流石の一言ではあるが、いつもより彼の表情はやや硬くも見える。

そんなわっく選手を迎え撃つのが、前回大会ベスト4のhyakko選手だ。
ディーヴァグランプリ5th2位&7th優勝を経て、この夢限少女杯の予選も順当に勝ち上がり、準決勝までやってきた。
トップクラスの実力を持ちながら、昨年2月のディソナ杯では「ベストコーディネート賞」を受賞したり、ウィクロスフェスではユーザー出展でトークンカードを配布するなど、さまざまな楽しみ方をする一面を持っている。コミュニティの「御意見番」でもある彼は、今年勢いに乗っているプレイヤーの1人だ。

そんな大御所同士が、静かに火花をちらし合う。顔見知った2人だが、雑談も軽口も一切ない。
「お前は倒す」「決勝に行くのは俺だ」と言わんばかりの、チリチリとした空気が漂う。
互いのプライドを賭けた、準決勝がいよいよ始まる――。

わっく選手(花代、エルドラ、メル)VS hyakko選手(LION、カーニバル、ウムル)

「相性差1-9かあ」

じゃんけんで先攻を取ったわっく選手がポツリと漏らす。4枚の手札をマリガンした彼の表情は浮かない。
彼が使うデッキは【ディソナ花代】。2023年環境で速攻の一角として暴れたデッキで、その速度は未だ健在だが、最近は【防衛派】の台頭もあり、やや数を減らしつつある。それでも速攻戦術とエナ破壊、【ディソナ】のカードパワーで十分に戦えるし、そんな【ディソナ花代】が準決勝にいるという事実が、デッキの強さを証明している。
しかし、やはり【防衛派】との対戦は避けたいのだろう。彼のぼやきからはそんな嘆きが伝わる。

一方のhyakko選手は、いつの間にか手札をすべてデッキに戻していた。ノータイムの5枚マリガン。
「俺のデッキはこれから答えます」「がんばってくれー、俺のデッキ」とデッキに語りかけながら、念入りにシャッフルを繰り返した。
互いに手札を引き直し、ライフクロスを置く。そして、「オープン」の掛け声と共に、戦いが幕を開けた。


先攻のわっく選手の動きは速かった。
迷いなく《幻獣神 LOVIT//ディソナ》をエナチャージし、センタールリグをレベル1へグロウ。
アシストルリグのエルドラを《エルドラ!エクスクラメーション!》にグロウさせ、2ドロー。ここまで10秒、いや5秒足らずの出来事だ。
わっく選手は小さくため息をつき、《コードアンチ ホーキ//ディソナ》《コードメイズ ペイラビ//ディソナ》を左右のシグニゾーンに配置。あっさりとターンを終えた。

後攻のhyakko選手。手札から《コードハート リメンバ//メモリア》をエナチャージし、センタールリグをレベル1へグロウ。
定石通り、アシストルリグのウムルを《ウムル=ドロー》にグロウさせる。2ドローの後、「うおっ」とhyakko選手が小さくのけぞった。

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「どこがいいんだろう……」と迷いつつも、ピース《ひらけ!ゲート!》で【ゲート】を中央のシグニゾーンで開門。
そして定石どおり、レベル1のシグニを2体並べ……ることはできなかった。場に出たのは、中央のゲート上に《コードメイズ ムジカ//THE DOOR》のみ。アタックフェイズ。
手札事故。5枚マリガン、後攻2ドロー、《ウムル=ドロー》を経ても、彼の手札にレベル1シグニが2体以上いなかったのだ。
《コードメイズ ムジカ//THE DOOR》のアタックでライフクロスが1枚クラッシュ。ルリグアタックはガードされ、エンドフェイズに《コードメイズ ムジカ//THE DOOR》《コードメイズ ペイラビ//ディソナ》をトラッシュに送る。
そして「手札超過です」と、hyakko選手は手札を捨ててターンを終えた。

わっく選手にとって絶好のチャンスだが、【ディソナ】にとってパワー8000の《コードメイズ ムジカ//THE DOOR》の処理は難儀だ。
が、わっく選手はそんな素振りを一切見せない。ターンを受けドロー、手札から《小砲 バクチク//ディソナ》をチャージし、センタールリグをレベル2へグロウ。《コードメイズ ムジカ//THE DOOR》の正面に《幻獣 ワウルフ//ディソナ》を、正面が空いたシグニゾーンに《コードライド レイラ//ディソナ》を配置した。アタックフェイズ。

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無抵抗なhyakko選手をわっく選手のシグニが襲う。
まずは《コードライド レイラ//ディソナ》がライフクロスをクラッシュ。と同時にその自動能力で、パワー8000の《コードメイズ ムジカ//THE DOOR》をバニッシュだ。立て続けに《幻獣 ワウルフ//ディソナ》《コードアンチ ホーキ//ディソナ》がhyakko選手のライフクロスを叩き割る。頼みのライフバーストは何も無い。
ルリグアタックはガードしたものの、先攻2ターン目の猛攻が直撃。ライフクロスを一気に3枚失った。

手札事故に3点直撃。いきなりの強烈な先制パンチを食らいながらも、「まだがんばれますかー?」と、hyakko選手はデッキに言い聞かせる余裕がある。
ターンを受け、エナチャージしてセンタールリグをレベル2へグロウ。まず【ゲート】上に《羅石 レイ//THE DOOR》を配置してデッキ上を操作。その後、アシストルリグのカーニバルを《カーニバル -撃-》にグロウさせシグニをバニッシュ。《アイン=サンガ//THE DOOR》《蒼魔 バン//THE DOOR》を配置してアタックフェイズだ。
わっく選手はこれを通した。シグニでライフクロスが1枚クラッシュされ、ルリグアタックはやや悩み、これをガード。わっく選手は5枚のライフクロスを残し、レベル3へとたどり着く。

場に残った《コードアンチ ホーキ//ディソナ》をエナチャージし、花代が《炎妖舞 花代・惨》へグロウ。
わっく選手は「アイサツ」と、独特のコールとともにエクシード4を支払うと、hyakko選手のライフクロスを1枚叩き割った。ライフバーストの《幻怪 エクス//THE DOOR》が不発に終わる。見事な業前で、hyakko選手のライフクロスは残り3枚だ。
そして《炎妖舞 花代・惨》でエナチャージ。続けて、わっく選手がルリグデッキに手をかける。飛び出したのはドリームチームピース《黒点の記憶》。速攻勝負の花代での長期戦が可能になった、彼の秘密兵器だ。

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【ルリグバリア】【シグニバリア】を1枚ずつ獲得し、デッキトップからは《小砲 バクチク//ディソナ》を手札に加えた。
その《小砲 バクチク//ディソナ》《羅石 レイ//THE DOOR》をバニッシュし、《翠魔姫 バン//ディソナ》《サーバント #》を配置してアタックフェイズに入った。《炎妖舞 花代・惨》の自動能力は、場に非ディソナの《サーバント #》がいるため誘発しない。
hyakko選手はこれを通した。わっく選手は《翠魔姫 バン//ディソナ》《蒼魔 バン//THE DOOR》を倒し、《小砲 バクチク//ディソナ》でライフクロスを1枚クラッシュ。ルリグアタックはガードされるも、ライフクロスを残り2枚まで追い込んだ。

鮮やかな速攻ではあるが、ここまでの全力疾走に、花代からは息切れの音が聞こえつつある。
hyakko選手は「手札0枚……」と小さくつぶやいた。そして「ラビット(《幻獣神 LOVIT//ディソナ》)はエナにいるのね……」と、状況をよく確認。花代の速攻が光るゲーム展開だが、防衛派はここからだ。
ターンを受け、ドロー。場に残った《アイン=サンガ//THE DOOR》をチャージし、LIONが《防衛者MC.LION-3rd》にグロウ。デッキの上から5枚見るが、該当のシグニは存在しなかったのか、すべてのカードをデッキ下に送った。

hyakko選手は流れるように、防衛ラインを高めていく。
まずは《防衛者MC.LION-3rd》のゲーム1能力で、hyakko選手のメインデッキ側に2つ目の【ゲート】を開門。更に《ひらけ!ゲート!》によって付与されたエクシード4で【シグニバリア】を獲得した。
そしてシグニを配置していく。【ゲート】上に《幻獣神 LOVIT//THE DOOR》を設置し、それを《防衛者MC.LION-3rd》でダウンさせ、わっく選手の《小砲 バクチク//ディソナ》を手札に戻す。もう1つの【ゲート】上に《コードメイズ ムジカ//THE DOOR》を配置し、残るシグニゾーンには《蒼魔 バン//THE DOOR》だ。アタックフェイズ。わっく選手はこれを受け入れ、【ルリグバリア】【シグニバリア】をあっさりと手放した。更にエンドフェイズに《コードメイズ ムジカ//THE DOOR》の能力で《翠魔姫 バン//ディソナ》が場から消え、《幻獣神 LOVIT//THE DOOR》《サーバント #》を回収する。ライフクロスの枚数に変化はないターンだが、hyakko選手の守りが一気に固まった。

対するわっく選手の手札は1枚。盤面も更地だ。
2ドローし、手札の《小砲 バクチク//ディソナ》をチャージすると、別の《小砲 バクチク//ディソナ》《羅植 アイビー//ディソナ》の2体のみを配置してアタックフェイズに入った。《羅植 アイビー//ディソナ》でエナを得て、《炎妖舞 花代・惨》《小砲 バクチク//ディソナ》に【アサシン】を付与する。要求は1面のみだ。hyakko選手は【シグニバリア】で【アサシン】による1点を防ぎ、ルリグアタックをガードしてこのターンを終えた。あの花代を前にして、一切の被弾を許さない。

わっく選手の場にシグニは2体。マウントを取り返したhyakko選手は、ライフクロスを狙いに行く。
《防衛者MC.LION-3rd》《小砲 バクチク//ディソナ》を手札に戻すと、そのまま《コードメイズ ムジカ//THE DOOR》《幻獣神 LOVIT//THE DOOR》の2面要求でアタックフェイズ。わっく選手はここで動く。アシストルリグのエルドラを《エルドラ!オンステージ!》にグロウさせた。
hyakko選手は公開領域の《開園の合図》の枚数を1枚と確かめると、まず1枚目のライフクロスをクラッシュ。元のライフバーストはなかったが、わっく選手は《エルドラ!オンステージ!》で、ダウンではなく2ドローを付与。2体目のシグニでのアタックも受け、そちらも《エルドラ!オンステージ!》で2ドローだ。続くルリグアタックはガードできなかったが、ライフクロスからは《コードアンチ ホーキ//ディソナ》が飛び出し、デッキの上から《羅星姫 タマゴ//ディソナ》を回収した。
エンドフェイズ。hyakko選手は《コードメイズ ムジカ//THE DOOR》《羅植 アイビー//ディソナ》を処理し、《幻獣神 LOVIT//THE DOOR》《サーバント #》を回収。手札超過するほどの潤沢な構えだ。

わっく選手のターン。ライフクロスを犠牲に、潤沢なリソースを取り戻した花代が、再度エンジンに火を入れる。
手札から《羅星 カーニバル//ディソナ》をチャージ。先程加えただろう《羅星姫 タマゴ//ディソナ》《幻獣神 LOVIT//THE DOOR》の正面に立て、その起動能力で左右のアシストルリグを寝かせ、1ドロー。ここでわっく選手が手を止めた。
「トラッシュ確認」とhyakko選手のトラッシュを確かめ、自分の公開領域を見やると、「使うか」と小さくつぶやき、アシストルリグのメルをようやく《メル・バースト》にグロウさせた。《蒼魔 バン//THE DOOR》をバニッシュし、その空いたシグニゾーンに《紅天 アノウズ//ディソナ》を、《コードメイズ ムジカ//THE DOOR》の正面に《幻獣 ワウルフ//ディソナ》を配置して【ランサー】を持たせた。hyakko選手は「おお」と驚きの声を漏らす。
アタックフェイズ。《炎妖舞 花代・惨》《羅星姫 タマゴ//ディソナ》が【アサシン】を持つ。一時代を築いた【ディソナ】の火力。これでいて、わっく選手の手札は5枚と十分だ。

3面要求に、hyakko選手はさすがにアシストルリグのウムルを《ウムル=ダウン》にグロウさせた。
《幻獣 ワウルフ//ディソナ》のみを残してダウンさせると、その1点だけを受ける。ルリグアタックは言うまでもなくガードだ。じわじわと防衛ラインを突き崩していく。
「アノウズ、ワウルフって何枚見えてます?」という問いに対し、わっく選手は「1枚ずつ」と短く返す。hyakko選手から「わおわおわお……」と、焦りのような声が漏れる。堅い防衛派シグニの上から、ライフクロスを1ターンに複数枚刈り取る手段は、まだまだ豊富に残されているようだ。

hyakko選手がギアを上げる。
再び《羅石 レイ//THE DOOR》でデッキトップを調整すると、それを《防衛者MC.LION-3rd》でダウンさせて《幻獣 ワウルフ//ディソナ》を手札に戻す。そして、盤面を一気に転換。ゲート上に満を持して現れたのは、《羅星姫 ノヴァ//THE DOOR》だ。しかも2体同時に。
残るシグニゾーンには《コードメイズ ムジカ//THE DOOR》を置いて、アタックフェイズ。2体の《羅星姫 ノヴァ//THE DOOR》がhyakko選手の手札を潤わせ、わっく選手の手札を刈り取らんと構える。
わっく選手の手札は6枚。2体の《羅星姫 ノヴァ//THE DOOR》が通れば残りは2枚となり、手札補充の頼みの綱の《羅星姫 タマゴ//ディソナ》は、このターン《羅星姫 ノヴァ//THE DOOR》とのバトルで間違いなく失う。ライフクロスの要求は1面のみだが、《エルドラ!オンステージ!》を使い終わったわっく選手には十分な脅威だ。

わっく選手はここで初めて「考えます」と、長考を伝えた。
ルリグデッキの残る1枚のピースに手をかけ、自分のデッキの枚数を見やり、手を止める。
しばらくの考慮を経て、わっく選手はピース《ゼノ・クラスタ》を使用した。ここまで手札を捨てられていないため、1枚のドローに終わる。そしてhyakko選手に「どうぞ」と伝えた。
2体の《羅星姫 ノヴァ//THE DOOR》が、《羅星姫 タマゴ//ディソナ》と、4枚の手札と、1枚のライフクロスを奪う。《紅天 アノウズ//ディソナ》もバトルで失う。ルリグアタックはガードでき、互いのライフクロスは1枚で並ぶが、リソース差は雲泥だ。

それでも花代の火力は途切れない。わっく選手はエナチャージを通過し、《炎妖舞 花代・惨》で手札交換をすると、「ふふっ」と短く笑った。
場に並んだのは《羅植 アイビー//ディソナ》《蒼天 ユバンダ//ディソナ》。そして《コードメイズ ムジカ//THE DOOR》の正面に立つ《蒼天 ユバンダ//ディソナ》《開園の合図》を施し、アタックフェイズ。《羅植 アイビー//ディソナ》には《炎妖舞 花代・惨》で【アサシン】を付与。土壇場でも2点要求しつつ、手札を2枚、エナを2枚以上残すことに成功した。《メル・インビジブル》での防御も担保されている。
センタールリグに火力が内蔵されているがゆえの、確実な脅威。【ディソナ】ゆえのリソース確保能力。2023年のディーヴァセレクションを支配した【ディソナ】の強さが詰まった攻めを、わっく選手は切らさずに保つ。
hyakko選手はその要求に対し、アシストルリグのカーニバルを《カーニバル -罪-》にグロウさせ、その2体のシグニのアタックを封じる。ルリグアタックは無論ガード。あと1枚のライフクロスが遠いものの、すべての防御アシストを吐き出させた。次のターン、2点以上の要求ができれば、防衛派を貫ける――。

が、防衛派は硬い。
hyakko選手は《中罠 ゆかゆか//ディソナ》《サーバント #》を回収すると、それをリムーブ。《蒼魔 バン//THE DOOR》を配置し、それを《防衛者MC.LION-3rd》ダウンさせ、《羅星姫 ノヴァ//THE DOOR》の正面に立つ《羅植 アイビー//ディソナ》を手札に戻した。再びの、2体の《羅星姫 ノヴァ//THE DOOR》による攻め。今回は両者がライフクロスを狙う。アタックフェイズ。
わっく選手は苦い顔をしながら、《メル・インビジブル》にグロウ。グロウコストと手札2枚を使って2回の防御を選んだ。hyakko選手は《羅星姫 ノヴァ//THE DOOR》のアタックでわっく選手の手札を奪い去ると、ルリグアタックはせずにターンを渡した。ライフバーストやエナを与えることによる反撃の芽も、きっちりと摘み切っている。

わっく選手に残されたリソースは赤1エナのみ。トップドローの2枚は《羅星 カーニバル//ディソナ》《翠魔姫 バン//ディソナ》
「だめか」と小さくつぶやきながらも、《翠魔姫 バン//ディソナ》に【アサシン】を付与し、hyakko選手の最後のライフクロスをクラッシュした。ルリグアタックは、何度も拾われた《サーバント #》に阻まれる。最後の1点が果てしなく遠かった。
hyakko選手の返しのターン。《羅星姫 ノヴァ//THE DOOR》たちの軍勢が、決着を告げた。


勝者 hyakko選手

「アシストルリグの防御面数がなあ、1面・3面なら行けるんだけど」

わっく選手が試合後にぽつりと漏らした。
ディーヴァセレクションに多いアシストルリグの防御面数に「1面防御+3面防御」がある。《幻獣神 LOVIT//ディソナ》などで3面防御を奪い、防御面数を1面減らすことで、その攻めを貫き通すのが彼のデッキのプランだ。《黒点の記憶》で長いゲームを可能にし、《炎妖舞 花代・惨》の【アサシン】【ダブルクラッシュ】で詰めていく算段なのだろう。
しかし、hyakko選手のLIONは、2面・2面。どちらもさほど重くないコストで2面防御を可能にしており、花代が防御面数を減らせなかったのが致命的だったようだ。

「予選抜けられたからよかったけれど」

ベスト4という十分な結果だが、彼にとっては不甲斐ないものなのだろう。
敗者去るべしと言わんばかりに、潔く卓を離れていった。

そして決勝戦へと駒を進めたhyakko選手。前回以上の記録は確定だ。
5枚のマリガンも、聞けば「初手にサーバントがなければ、どんなに手札が良くてもすべて交換、という鉄の掟です」と、調整メンバーとの約束ゆえのものと明かしてくれた。大舞台で下手に迷って「やっちゃった!」を減らすためで、一種のルーティンに近い。数多くの実績からは、無数の練習量がうかがえる。

それを自信に、hyakko選手は決勝戦の舞台へと向かう。
あと1つ勝ち、夢限少女の栄冠を手にするために――。

タカラトミーモール