夢限少女杯・メタゲーム分析

「環境の一歩先」を見据えるために(ライター:からばこ)

12月4日に「セレクターポイント頂上決定戦 夢限少女杯」が開催されました。
セレクターポイント上位16人による最強決定戦では、最高峰のバトルの数々が極限の緊張感の中で繰り広げられました。
今回の記事では、上位16人が使ったデッキを徹底分析して、環境の傾向や対策などを、僭越ながら解説させていただきます。

はるかな高みで戦うトップの世界。果たしてどんな景色なのか……。
少しでも皆様にお届け出来るよう、気合いを入れて書いていきます。
それではさっそく、始めていきましょう!

目次
  1. センタールリグ編:「リメンバ中心」をどう捉えた?
  2. ピース編:キーワードは「デッキ破壊」
  3. メインデッキ編:《羅菌 アメーバ》を使いこなそう!
  4. トップたちの「意識」に学ぼう!

①センタールリグ編:「リメンバ中心」をどう捉えた?

夢限少女杯本戦は16人のトーナメント形式で行われました。
まずはトーナメント表と、センタールリグの分布を見ていきましょう。

リメンバ(黒青)…4人(おうか選手、コーヒー選手、しみずき選手、ぽっきー選手)
デウス…3人(原子軸…ゆきちゃん選手、わっく選手、チームデウス…しょぱん選手)
エクス(チームエクス)…2人(46熊選手、リク選手)
サシェ(黒青)…2人(hyakko選手、ウルシハ選手)
《融合せし極門 ウトゥルス//メモリア》《運鳴 ノヴァ》…1人(シロネコ選手)
《頂点へ一歩 ヒラナ》…1人(かぜはら選手)
《ノンストップ Dr.タマゴ》…1人(アカバ選手)
ミュウ…1人(プク丼選手)
《キセキオコス バン》…1人(イシイ選手)

前評判通り、リメンバが最多の4人です。第2勢力はデウスの3人。続いてエクス、サシェが2人で続きました。
それ以降は分布1で、優勝したノヴァも分布1からの登場です。
大会前はリメンバを8人くらい持ち込んでくると予想していましたし、プレイヤーも事前インタビューで同様の声を上げていましたが、ふたを開けると多彩なルリグが参戦していました。

「リメンバ中心」ではありながらも、さまざまなルリグがしのぎを削る、ウィクロスらしい環境とも言えます。

最大勢力のリメンバ~軸は「手札破壊」

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リメンバは4人全員が、アシストルリグに青、黒を採用した構築でした。
ディーヴァグランプリ4thでも非常に人気の高かったデッキが、そのまま夢限少女杯で最大勢力になりました。
青のアシストルリグには全員マドカを採用。黒のアシストルリグはマキナが3人、ウリスが1人です。
レベル2アシストルリグの種類はそれぞれですが、デッキの方向性はどれも同じと言えますね。

ただ、メインデッキの構築にはかなりの差が出ていました。
レベル3の青シグニだけを見ても、《羅原姫 ZrO2》《幻水神 ホタルイカ》《羅原姫 H2O》などさまざまでした。
手札破壊を重視するか、火力を重視するか。
同じリメンバでも、プレイヤーの好みが色濃く反映されています。詳しくは「メインデッキ」の項目で紹介します。
《共宴の巫女 リメンバ・ディナー》のターン1能力があるからこそ、さまざまな選択肢をデッキに盛り込みながら、高い安定感で戦うことができます。
練度の高いプレイヤーが使えば、その強さがさらに高まることは言うまでもないでしょう。

俄然強力なデウスとエクス

続く勢力はデウス。DXMのチームメイトであるエクスと合わせると、その総数は最大勢力のリメンバを超えます。
サシェの台頭により逆風にさらされていたデッキでしたが、ここに来て息を吹き替えしてきました。

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特にエクスを持ち込んだプレイヤーからは「リメンバに有利に戦えるだろう」との声が聞こえました。
序盤の火力が非常に高いことから、立ち上がりが遅いリメンバに対してダメージレースで優位に立ちやすく、レベル3以降に並ぶ《コードハート リメンバ//メモリア》《聖天姫 エクシア》などの硬い白シグニを前にしても、《TRIGGER OF VICTORY》の直接火力や《DEATH DECK》でのリフレッシュ戦略で、ライフクロスを直に狙えます。

チームエクス、チームデウスがこの傾向でデッキを構築しており、《コードライド マキナ//メモリア》までも採用するプレイヤーもいたほどでした。

原子シグニを中心に構成された「原子デウス」の強さは説明不要でしょう。
純粋なビートダウンでは最高峰のスペックを誇る、2022年前半のディーヴァセレクションを象徴するデッキです。
このデッキを持ち込んだわっく選手、ゆきちゃん選手は「原子デウス」のエキスパート。
両者とも白ルリグと《コードメイズ ユキ//メモリア》などを採用し、《コードハート リメンバ//メモリア》などを対策した構築になっています。
デウス、エクスの地力は決しておとろえず。トップディーヴァの存在感たるや、です。

メモリーシグニが大躍進

メモリーシグニを軸にしたデッキの活躍にも注目しましょう。

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まずは《融合せし極門 ウトゥルス//メモリア》軸の《運鳴 ノヴァ》デッキ。
優勝したシロネコ選手が使ったデッキですね。

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優勝インタビューでシロネコ選手が語った通り、デッキのコンセプトは「ウトゥルスとゆかいな仲間たち」。
《融合せし極門 ウトゥルス//メモリア》を最大限に活かすためのルリグが《運鳴 ノヴァ》だったようです。
ほかのセンタールリグ候補としては、ウリスやグズ子、ドーナなど6ルリグがあったようです。
最終的には「選択肢が多く難しいが、安定感がある」ということでノヴァを選択したと、自身のSNSで明かしています。
最近のセレモニーでも《融合せし極門 ウトゥルス//メモリア》を使ったデッキはよく見かけますね。

もう一つ、ベスト8の《キセキオコス バン》にも触れておきましょう。
《幻怪姫 翠子//メモリア》をエースに添えた、イシイ選手のデッキです。

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白ルリグへの対抗馬として注目されている緑ルリグ。
エナを伸ばせば《白夜の使者 サシェ・モティエ》のゲーム1能力を乗り越えられ、《幻怪姫 翠子//メモリア》が防御を拡張することで、防御の薄いリメンバにも優位に立ち回ることができます。
ノヴァもバンも、エースのメモリーシグニを活かすためのルリグ選択だった様子。
ウィクロスはルリグが中心になりやすいゲームですが、「切り札のシグニを最大限に活かすためのルリグを選ぶ」という考え方も覚えておきたいところです。

ノヴァ、バンと続いたので、タマゴについても最後に一言。
使用したアカバ選手は「手札破壊やリソースを抱える力で、リメンバを上回れると思った。デウスやエクスが減ったことも追い風だった」と、持ち込んだ理由を明かしてくれました。長く関西で活躍した、彼の代名詞的なデッキでもあります。
プレイヤーが環境を読み解いた結果、「うちゅうのはじまり」が全員集合したのも、なんだか不思議な縁を感じますね。

デッキ選択に思いを込めて

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サシェを使用したのはhyakko選手とウルシハ選手。
「REUNION DIVA」発売後からサシェを使い込んだ、環境を牽引した第一人者です。
両者とも、磨き上げたデッキを大舞台に持ち込みました。プク丼選手もGP4thで使用したミュウを選択しています。
かぜはら選手は、強烈なルリグアタックで攻める《頂点へ一歩 ヒラナ》デッキを使用。「ジャイアントキリングを狙った」と、一撃に全てを込めました。
惜しくもベスト16でしたが、「やりたいことは全部やれた!」と試合後は清々しい表情を見せてくれました。

あなたならどのデッキを、どのルリグを持ち込みますか?

②ピース編:キーワードは「デッキ破壊」

続いてはピースについて分析。16デッキ、全32枚の分布はこちらです。
(分布の後ろの数値は採用したセンタールリグです)

《マイアズマ・ラビリンス》・・・6(デウス、バン、ミュウ、リメンバ)
《スーパー・ヘルエスタセイバー》・・・6(デウス、サシェ、リメンバ、タマゴ、ノヴァ、ミュウ)
《ウルトラスーパーヒーローズ》・・・5(サシェ、リメンバ、タマゴ、ノヴァ)
《TRIGGER OF VICTORY》・・・3(チームデウス、チームエクス)
《DEATH DECK》・・・3(チームデウス、チームエクス)
《burning curiosity》・・・2(リメンバ)
《M.G.D.》・・・2(リメンバ、デウス)
《一覇一絡》・・・1(ヒラナ)
《リセット・メモリア》・・・1(バン)
《蒼黒GAIA》・・・1(ヒラナ)
《Garden of Singularity》・・・1(デウス)
《ゼノ・クラスタ》・・・1(デウス)

人気のドリームピースが《ウルトラスーパーヒーローズ》《マイアズマ・ラビリンス》です。
2枚とも「デッキ破壊」「手札補充」の能力を持ちますが、その役割は大きく異なります。

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白黒青ルリグで使う《ウルトラスーパーヒーローズ》の強みは、使うタイミングを選ばない点です。
デッキの上から5枚見て2枚加える能力は、序盤の手札事故などで足りなくなったレベル1やレベル2のシグニ、《サーバント #》を補充できます。
攻めたい際の《中装 デウス//メモリア》《蒼魔 マノミン》の手札コストを工面しても良いでしょう。
そのうえで10枚のデッキ破壊です。デッキ破壊はどのタイミングで行っても同じ効力が期待でき、相手のデッキタイプを判断したり、《サーバント #》をトラッシュに送るチャンスも得られます。
1エナと軽く、どのタイミングで使っても同様のリターンが得られるのが《ウルトラスーパーヒーローズ》でしょう。
センタールリグがレベル1や2の時でも、状況次第ではどんどん使っていきたいですね。

一方の《マイアズマ・ラビリンス》は中盤戦で輝きます。
マイナス12000をしながら、トラッシュからシグニの場出しと、シグニの回収をする場合が多いでしょう。
手札破壊からの立て直しなど、切り返しの強さが魅力です。それだけでなく、自分が優勢の時はデッキ破壊でリフレッシュを狙ったりなど、相手をさらに追い詰めることもできます。
また《ウルトラスーパーヒーローズ》と異なり、ルリグの色指定が黒のみです。マキナをアシストルリグに採用すれば、それだけで《マイアズマ・ラビリンス》が使えます。
このこともあって、リメンバやバンなどのさまざまなデッキで使われていました。
エナコストは3とさほど重くもありません。中盤戦での切り返しやさらなるダメ押しにも役立つ、使い勝手の非常に良いピースですね。

デッキ破壊といえば《DEATH DECK》も忘れてはいけません。

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2人のチームエクス、チームデウスの計3人が採用。《TRIGGER OF VICTORY》に次ぐ、DXMの代表的ピースになりました。
ルリグデッキの項目で説明した通り、リフレッシュで硬い白シグニを飛び越えての直接ダメージを狙えます。
シグニの回収でもさらなる追加打点が狙えるため、ドリームピースではありませんが、《マイアズマ・ラビリンス》に匹敵する火力が期待できますね。
《ウルトラスーパーヒーローズ》《マイアズマ・ラビリンス》でも、硬い白シグニを飛び越えたリフレッシュダメージが期待できるという点は同じです。
白ルリグたちは攻める力が低いため、そこをリフレッシュで補っていると言えるでしょう。

そしてもう1つが《スーパー・ヘルエスタセイバー》。白黒環境を象徴するピースですね。

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使えば手札が3枚増えるので、こちらも手札破壊からの立て直しに便利です。
白、黒、無色で各1枚ずつしか拾えませんが、例えば《羅星姫 ミュウ//メモリア》を回収すれば、そこから《羅菌 アメーバ》《蒼魔 マノミン》など、別色のシグニにつなげられるのも嬉しいです。
アタッカーが豊富なのは黒だけでなく、白にも《聖魔姫 オロチマル》などがいます。
手札コストは多くかかりますが、黒シグニと合わせれば《ヘルエスタセイバー》だけで2点要求も可能なので、最後の詰めにも使えます。
そして「必ずしも3枚回収する必要はない」という柔軟な思考も大切です。
準決勝ではぽっきー選手が最終ターンに、《中装 デウス//メモリア》の手札コストを工面するために、白1枚のみの回収に使っていました。

リメンバやサシェの台頭で環境が低速化し、純粋なシグニの火力に加え、手札破壊やデッキ破壊などの飛び道具も求められるようになりました。
《マイアズマ・ラビリンス》に加え《ウルトラスーパーヒーローズ》も流行したのが、それを如実に象徴しています。
自分のデッキの強化、改良のヒントになりそうですね。

③メインデッキ編:《羅菌 アメーバ》を使いこなそう!

お次はメインデッキ。「本日の主役」は《羅菌 アメーバ》です。
流行する手札破壊を対策できるシグニです。その強さに改めてフォーカスしましょう。

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ディーヴァセレクションの手札破壊は、「する側」にも相応のコストが求められます。
《蒼魔 マノミン》《プリパラアイドル ファルル》は自分も手札を1枚捨てなければいけませんし、《RANDOM BAD》は1エナかかります。そこを《羅菌 アメーバ》で打ち消されると、手札破壊をする側が損してしまう形になりますね。
1、2回のなら《羅菌 アメーバ》さほど痛手はなくとも、3、4回と《羅菌 アメーバ》でかわされると、手札破壊をする側が疲弊していきます。
無茶な手札破壊は、かえって自分の首を締める環境になりました。

ですが、手札破壊を仕掛ける側も黙ってはいません。
私が特に注目したのは、リメンバが採用したシグニたち。おうか選手の《幻水神 ホタルイカ》と、ぽっきー選手の《羅原姫 ZrO2》です。

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どちらのシグニも、相手の手札を見ないで捨てさせる能力を持ちます。《羅菌 アメーバ》を飛び越えて《サーバント #》などを捨てさせれば、それだけで勝利を大きく引き寄せられるでしょう。
対戦模様が配信された2回戦のおうか選手も、土俵際でシロネコ選手の《サーバント #》を奪いにかかっていましたね。
《幻水神 ホタルイカ》は場に残り続ければ、継続的に手札破壊を行えます。
ハーモニー条件を満たさずにダウン状態で場に出しても、次のターンになればアップしますし、火力が低い環境では1ターン生き残ることも期待できます。
おうか選手のリメンバはこの《幻水神 ホタルイカ》をエースにした構築でした。
一方の《羅原姫 ZrO2》。手札破壊は出現時のみですが、アタック時にシグニを除去できます。
何もせずともマイナス3000、2枚捨てさせれば8000。どちらもレベル1、レベル2の標準パワーを除去できるうえ、「アタックした時」なので《聖天姫 エクシア》を貫通できるのも魅力です。
ぽっきー選手はこのカードを3枚採用しており、「4枚採用してもいいくらいだった」と非常に高く評価しています。

そんな両選手の手札破壊をしのぎきったのが、シロネコ選手の見事なアメーバ捌き。
「手札破壊対策が仕上がっていたのは、10か月くらい前から、友人のあやとリメンバとずーっと対戦したから。日々の積み重ねは大事だなあ」と、自身のSNSで語っています。

一流のテクニックは、夢限少女杯の配信でしっかり残されています。余すことなく学び、身につけましょう!

ホームルーム:トップたちの「意識」に学ぼう!

長くなりましたが、夢限少女杯環境のまとめといきましょう。

会場では多くのプレイヤーに、デッキ選択やバトルの感想などを取材することができました。
声を聞いて感じたのは、多くのプレイヤーが

「リメンバが流行っているから、どうしよう?」

というところからデッキ選択、構築をスタートさせていた点です。

エクスやバンを選んだり、リメンバの手札破壊の質を上げたりと、「リメンバどうする?」を指標にしていた印象です。
16人は誰もが「環境の一歩先」を見据えた場所に立っていました。

彼らのそんな視点は、自分がデッキを組む際にも大いに参考になります。卓越したプレイングはすぐさま身につけられることはできなくても、意識だけなら近づくことはできるかもしれません。
自分の自慢のデッキをより強くするヒントが、ここに込められているような気がします。取材を通して、そう感じるばかりでした。私ももっと強くなりたいなあ……。


さてさて、夢限少女杯の読み物はまだまだ続きます。
迫力のバトルをお届けするカバレージもありますのでお楽しみに!

タカラトミーモール