【バトル攻略コラム】

ウィクロスアカデミー

ディーヴァグランプリ5th環境分析~「大・ディソナ時代」を読み解く

はいこんにちは、からばこです。
ディーヴァグランプリ5th、お疲れ様でした。
私も参加しました。
久しぶりの名古屋、とても楽しい1日を過ごすことができました。

というわけで今回は、ディーヴァグランプリ5thのメタゲーム解説になります。
ルリグ分布や上位入賞デッキの傾向などを振り返り、
今後のディーヴァセレクション環境を見通していければと思います。
ボリュームたっぷりになりますが、
丁寧に解説していきますので、ぜひお楽しみください。

いつもの自己紹介です。

  • デッキまとめサイト「WIXOSSBOX」管理人。
    6月で5周年です。
  • 本戦はナナシで出場しました。本命はコード・ピルルク。

それでは行ってみましょう!

本日の授業
  • 1時間目:ルリグ分布から見えること
  • 2時間目:5勝1敗ライン分析
  • 3時間目:上位入賞デッキ紹介
  • 4時間目:まとめとこれから

1時間目:ルリグ分布から見えること…
合言葉は「3面要求+α」

まずは参加者268人のルリグ分布です。分布はこちら。

上位5ルリグはナナシ、ピルルク、タマ、イオナ、花代となり、ここまででおおよそ半数近くを占めています。
ナナシとピルルクは最新弾「CONCORD DIVA」で新たなセンタールリグが登場。
タマとイオナも《未知の巫女 マユ》が採用できるルリグタイプ。
そして花代は前弾「DISSONANCE DIVA」環境の強豪と、やはりディソナ勢が強い環境となっています。
続くルリグタイプは緑子、リメンバ、ヒラナ、みこみこ、メルとユヅキが同数で、ここまでで上位10ルリグです。
お察しの方も多いかと思いますが、上位10ルリグタイプはすべて、ディソナ環境で新規のセンタールリグが登場したルリグとなりました。

なお、私の手元にはルリグタイプの分布資料しかないので、タマの中には《奏月の巫女 タマヨリヒメ》、リメンバの中には《共宴の巫女 リメンバ・ディナー》など、以前のメタゲームで活躍したセンタールリグが含まれていると予想できますし、他のルリグタイプにもそれは共通します。
実際私も4戦目で《奏月の巫女 タマヨリヒメ》のデッキと対戦しましたしね。
しかしそれを考慮したとしてなお、分布の6~7割がディソナルリグとなった、まさに「大・ディソナ時代」のディーヴァグランプリだったと言えるでしょう。
ディソナルリグ、シグニのカードパワーの高さが伺えます。


ディソナ軸デッキの共通点として、「3面要求は当たり前で、そこにどんな+αを持たせるか」が挙げられます。
(3面要求とは、アタックフェイズで3体のシグニが、アタックなどでライフクロスをクラッシュできる状況を言います)

ディソナ勢は火力が非常に高く、下級シグニは《小砲 バクチク//ディソナ》《幻獣 ワウルフ//ディソナ》、上級シグニは《幻獣神 LOVIT//ディソナ》《翠魔姫 バン//ディソナ》、スペルは《開園の合図》《ブラック・オーラ》など、どこを見ても除去が当たり前。
そこにどんな「+α」を持たせられるかが個性になっています。
例えば《ナナシ 其ノ参ノ禍》であれば《羅菌姫 ヘドニム//ディソナ》によるデッキ破壊。
《コード・ピルルク・極》であれば《コードハート セイヴ//ディソナ》によるリソース獲得と手札破壊。
《王手の一歩 ヒラナ》であれば圧倒的なエナ破壊力とガード不可の一撃など……。
誰もが「+α」を持っており、その+αの種類を増やしたり、質を高めていくことが、ディソナ後期環境ではより重要になったと分析しています。

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分布でナナシ、ピルルクが多かったのも、その背景があるからと見ています。

ナナシの強みは多々ありますが、一つは《羅菌姫 ヘドニム//ディソナ》の出現時能力による柔軟性の高さです。
あらゆるディソナシグニをトラッシュから場に出せることから、状況や対面に合わせて戦っていけるため、多様なデッキと対戦するディーヴァグランプリにマッチしたデッキと言えます。
加えて、ルリグと《羅菌姫 ヘドニム//ディソナ》が高い除去性能を持っており、3面要求は朝飯前です。
そのため《黒点の記憶》で長いゲームを戦ったり、《不穏☆FU☆ON!》などの手札破壊で速攻を仕掛けたりと、「+α」のカスタマイズ幅が広くなっているのもポイントです。

次点のピルルクは、圧倒的なリソース獲得性能が強みです。
手札の獲得はもちろんですが、エナ方面でも《コードハート セイヴ//ディソナ》《羽化》の存在から、《幻獣神 LOVIT//ディソナ》《コードアート ララ・ルー//ディソナ》では破壊が追いつけない量を抱えられます。
そこに《ゼノ・クラスタ》を採用すれば、相手の攻めをすべて受け止めることもたやすいでしょう。
その攻め手段すらも《EXTRA》《デス・ビーム・ディーヴァ》などで奪い去ることもできます。
ナナシほどではありませんが、ピルルクも3面要求はエクシードや《開園の合図》で安定しています。
そこにリソース獲得や手札破壊という「+α」を添えることで、グランプリでは強く戦っていけたのでしょう。

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これからのディソナ後期環境は、この「+α」をどのように作っていくかが重要になりそうです。
1つや2つの「+α」では、勝負の土俵にすら上がれない可能性すらあります。
ディソナルリグを使うにせよ、そうでないにせよ、「3面要求+α」を合言葉に、デッキを作り、戦っていきたいですね。

防御に振ったデッキを作る場合は、その「3面要求+α」に耐えうる構築にすることは、言わずもがなですよ。

2時間目:5勝1敗ライン分析……猛攻をいかにしのぐ?

続いては、5勝1敗以上に残った29デッキの傾向と分析です。
ディーヴァグランプリの予選は、2敗したらその時点で敗退の「ダブルエリミネーション形式」で、6回戦が行われます。
そして、その時点のオポーネント(対戦した人の成績)などで上位16人を決め、その16人が決勝トーナメントに進出できる、という形式です。
今回は予選を5勝1敗までで終えた29デッキを環境上位と定義し、あれこれ見ていこうと思います。


センタールリグの分布は以下の通りです。(※Dはディソナの略)

ナナシD:7人
ピルルクD:5人
花代D:3人
黒タマ:3人(《未知の巫女 マユ》2人、《残黒の巫女 タマヨリヒメ》止め1人)
白タマ:2人(《奏月の巫女 タマヨリヒメ》止め2人)
アンジュ、ウムル、みこみこD、ミルルン、メルD、ユキD(非マユ)、リメンバD、LION、緑子D:各1人


上位の分布は上からナナシ、ピルルク、タマ(白黒マユ合算)、花代となり、ほぼ予選の分布通りになりました。
2人の白タマ、各1人のアンジュ、ウムル、ミルルン、LIONを除くと、29人中23人がディソナルリグで勝ち上がっています。
全体の分布と同じく、ディソナ勢のパワーの高さが伺い知れますね。

注目したいのは、上位29デッキの「防御面数」です。
ここで言う防御面数とは、アシストルリグが相手からのダメージを何回防げるかを数えた値のことです。
例えば《エクスクロスファイア》であれば1体のシグニをバニッシュできるので「1面」、《メル・インビジブル》であれば、最大3ダメージを無効にできるので「3面」と数えます。エクス、メルを採用したデッキであれば「4面防御」と呼びます。
正式な用語ではありませんが、プレイヤー間の会話でよく使われるので、覚えておくと良いでしょう。

(※ここに《黒点の記憶》《Can’t stop Pretty!》などのピースを含める場合もありますが、今回はアシストルリグのみで集計しました。)

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上位29デッキの防御面数を数えたところ、4面防御が14デッキ、3面防御が7デッキと、多くのデッキが防御面数を多くしていたことがわかりました。
今回はダウンやバニッシュ、ダメージ無効など、純粋な防御をカウントしているので、《ウリス・オーラ》《ウムル=クリアー》《ピルルク/P-A》などの特殊なアシストルリグを含めると、防御面数はもうちょっと増えるでしょう。
詳細な数値はここでは重要ではありません。
要するに「どのデッキも防御を重視している」という傾向が見て取れる、という点をお伝えしたいです。

その傾向はピースにも色濃く現れています。
まずはドリームピースから。
上位29デッキのうち26デッキがドリームピースを採用し、うち8人が《黒点の記憶》を選んでいます。

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2枚のバリアを張ることで、デッキの防御面数はさらに増加します。
アシストルリグで4面防御+《黒点の記憶》で2面防御の「6面防御」を搭載したデッキも5デッキありましたし、アシストルリグの防御面数を軽くして消費エナを抑え、それを《黒点の記憶》で補うタイプのデッキも散見されました。
とにかく「守り」を意識したピースの傾向が垣間見えます。
加えて、非ドリームピース枠の一番人気は《ゼノ・クラスタ》です。

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29デッキ中13デッキが採用し、エナ破壊や手札破壊の上からでも、大型のアシストルリグをフルパワーで使えるように構えています。
《幻獣神 LOVIT//ディソナ》の登場で、《メル・インビジブル》《マドカ//クラップ》などをフルパワーで使うのは難しくなりましたが、その上からでもフルパワーで使えるようにしているのでしょう。
《コード・ピルルク・極》の人気もあり、手札破壊が流行している環境であることから、《ゼノ・クラスタ》の出番が多いと見たプレイヤーは多そうです。

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アシストルリグに防御を専念させられるようになった背景にも、やはりディソナが大きく絡んでいます。

1時間目でもお伝えした通り、ディソナ勢はセンタールリグ、及びメインデッキで非常に高い除去性能を持っています。
その攻撃力は非常に高く、《翠魔姫 バン//ディソナ》の存在もあり、メインデッキにおける最上級の防御シグニ《聖天姫 エクシア》をも容易く貫き、ライフクロスを攻め立てることができます。
あの《聖天姫 エクシア》ですら受けるのが難しい火力ですから、ほかのシグニたちは言わずもがな、ですよね。
そのためアシストルリグを除去に回す必要がなく、「攻撃はセンタールリグとメインデッキで、防御はルリグデッキで」という分業制が成立し、ディソナたちの猛攻を凌ぐために、防御性能が高くなっていった、と見ています。

この傾向を見て思い出したのが、2022年前半頃の環境です。
チームエクス、デウスがトップメタだった、DXM(デウス・エクス・マキナ)環境の頃ですね。

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彼女らは【ソウル】をシグニに付与して要求し、防御は《デウスシールド》《マキナスマッシュ》《エクスクロスファイア》《マキナバインド》で4面を担保して戦っていました。
《羅原姫 H2O》軸のデウス【原子デウス】も、防御は《マキナスマッシュ》《マドカ//クラップ》の4面防御でしたね。
メインデッキでの除去が今ほど強力ではなかったカードプールの中、エクスやデウスたちはソウルを武器に、コンスタントに3面防御を続け、環境を支配していました。
《ゼノ・クラスタ》《M.G.D.》《Garden of Singularity》を採用し、相手のエナ破壊や手札破壊に備えてもいましたね。
今思えば、「攻めはセンタールリグとメインデッキで、防御はルリグデッキで」戦えて、その攻めが当時のメインデッキの除去より頭一つ抜けていた点が、トップディーヴァであるDXMの強さでした。

……ディソナルリグたちは、誰もがDXMに似たステージで戦っているのかもしれませんね。

3時間目:上位入賞デッキピックアップ

はい、概論はここまで! 疲れていませんか? 大丈夫ですか?
長々書いてきましたが、「3面要求+α」「防御は厚く寄せる傾向」と覚えておけば、ここから先も大丈夫です。
この2点を抑えた上で、上位入賞デッキの一部を見ていきましょう。

優勝:コーヒー選手(ピルルクデッキ)

今回のディーヴァグランプリを制したのは《コード・ピルルク・極》です。
《エクスクロスファイア》《メル・インビジブル》《ゼノ・クラスタ》で防御を厚くし、メインデッキは火力に寄せた、お手本のようなディソナデッキです。
ドリームピースは《不穏☆FU☆ON!》で、手札破壊を重視しているようです。
注目は《幻獣神 LOVIT//ディソナ》を最大の4枚採用している点でしょうか。《メル・インビジブル》などのメタにもなるうえ、エクシード以外の除去が乏しい《コード・ピルルク・極》の火力を補い、《開園の合図》の赤エナにもなります。
確かに《幻獣神 LOVIT//ディソナ》は相性が良いカードです。
ですが4枚採用したピルルクは、上位29デッキの中ではこれが唯一。本戦でも存分に暴れたことが想像できます。

コーヒー選手は今回予選、決勝トーナメントともに全勝での優勝。
1年前に名古屋で開催されたディーヴァグランプリ2ndでも、同様に全勝優勝を果たしており、名古屋では20勝0敗という、圧巻の一言では足りない戦績を収めています。

予選10位:プク丼選手(ナナシデッキ)

センター:ナナシ アシスト:レイ、メル

アカデミー同僚のしみずき選手、シロネコ選手も同系のデッキを持ち込み、16位、17位の結果を残しています。
注目したいのはルリグデッキ。《レイ*月華》《レイ*無我斬》《不穏☆FU☆ON!》で、一瞬で手札を奪い去り、《ナナシ 其ノ参ノ禍》《羅菌姫 ヘドニム//ディソナ》のデッキ破壊と除去で駆け抜けます。
この「不穏レイ」パッケージによる手札破壊は最速で先攻2ターン目で行え、その後の相手のドローがレベル3シグニであれば盤面にシグニが並ばず、その時点でゲームセットでしょう。
例えライフバーストや《ゼノ・クラスタ》などで復帰できても、そこからナナシと五分に組み合うのは難しいです。

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ここまで散々「4面防御で守りを重視せよ」と書いてきましたが、このデッキはその一歩先へ進んでいます。
《小砲 バクチク//ディソナ》《メル・インビジブル》などの手札コストを工面できなくなるため、「不穏レイ」パッケージが実質の防御として機能。
後半戦で手札が枯れ、パワーが低いシグニを場に出さざるを得なくなれば、《ナナシ 其ノ参ノ禍》のウイルスがノーコストで除去します。
手札破壊で《サーバント #》を奪うことで、ルリグアタックが通りやすくなる点は言うまでもありませんね。

詳しい解説はしみずき選手がご自身のSNSで行っているので、筆を託すことにします。
彼らが事あることに口にしていた「環境の一歩先を見よ」という言葉が体現されたデッキです。

総合4位:しろにゃ選手(LION)

センター:LION アシスト:ウリス、LOVIT

総合4位はLIONデッキです。
注目は《MC.LION-3rdVerse》のゲーム1能力。
ルリグアタックでダメージを与えられなかった場合、アシストルリグをダウンすることで、再度のルリグアタックを可能にします。
これは《メル・インビジブル》《黒点の記憶》のルリグバリアによるダメージ無効を貫通するため、「止めの一撃」として非常に有効です。
デッキを見ると飛び道具が多く採用されています。
《ウルトラスーパーヒーローズ》などでのリフレッシュと、《DJ.LOVIT-CROSSFADE》によるライフクロスクラッシュでダメージレースを加速させる狙いでしょう。
序盤の火力役は、当然ディソナシグニたちです。

もう1点は《ウリス・オーラ》です。
メインデッキの火力が高まり、かつエナ破壊が飛び交う現状を逆手に取り、「どうせ除去されるシグニなら、ライフクロスを経由してエナにしよう」という算段なのでしょう。
《大盗罠 ルパンヌ》が生き残り、次のターン除去されれば、《ウリス・オーラ》で増えたライフクロスと入れ替わることもできます。

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そして《聖天姫 エクシア》でしょう。
《翠魔姫 バン//ディソナ》で突破される機会が増えましたが、それくらいしか解答が無いのもまた事実。
しっかり並べられると強力なのは相変わらずです。
古くは1弾から最新の13弾まで、2年半の歴史を積み重ねたディーヴァセレクションのカードを詰め込んだデッキで4位入賞です。お見事!

4時間目:まとめとこれから

重ね重ね書きましたが、本日のまとめです。

  • ディソナルリグの活躍が続く。「3面要求+α」で戦おう
  • 防御重視の環境に。4面防御に《黒点の記憶》《ゼノ・クラスタ》などの追加パッケージも
  • 防御重視を見越したデッキが誕生する気配も。ゲームスピードはさらにアップ?

半年前の2022年冬は、白ルリグ、シグニの時代でした。
リメンバやサシェ、《コードハート リメンバ//メモリア》《聖天姫 エクシア》らが流行し、「シグニで1点、ルリグで1点」と、ゆっくりとダメージを刻んでいくのが主流でした。
半年を経た今それは一転し、チームエクス、デウスらが幅を利かせていた時代を彷彿とさせる、一大ビートダウン環境になっています。
火力にはエナ破壊や手札破壊も添えられ、より高速化するのか、はたまた受けるデッキが生まれるのか……。
「CONCORD DIVA」環境のこれからを、しっかり見守っていきたいと思います。

6月には「《未知の巫女 マユ》特製プレイマット争奪戦」も開催されますし、7月までは全国各地で「WIXOSSスタートツアー」が行われます。
ガチばとるもカジュアルばとるも、梅雨のジメジメ気分を吹き飛ばして、思いっきり楽しんでいきましょう。

次回のディーヴァグランプリ6thは、8月19日に大阪・堺市で開催予定です。
「フェゾーネ DIVA with電音部」環境になって3週間が経っての開催です。どんなデッキが出てくるか、今から楽しみですね。


それでは今日はここまで!
ながーい授業でしたが、皆様ありがとうございました。

タカラトミーモール