タカラトミーグループ

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project story 01

世界の共通言語になる日まで。

ぷにるんず️ デビュー戦略

本体の穴の奥にある「ぷにぷにボタン」を操作して、液晶の中のキャラクターを直接触っているかのような感覚が味わえる、
新触感液晶お世話トイ「ぷにるんず」。
デビューからわずか3年でアジアを含む累計出荷数は90万個を超え、
早くも3作目を数える大ヒットシリーズはどのようにデビューし、急成長できたのだろうか。

H.N.

2021年入社

Hitsビジネス本部
ファッションエンターテイメント事業部
マーケティング課

研修期間を経て、ファッションエンターテイメント事業部に所属。現在は、ぷにるんずとクラフトホビー全般のマーケティングを担当する。

M.T.

2006年入社

Hitsビジネス本部
ファッションエンターテイメント事業部
マーケティング課

タカラとトミーが合併した2006年に入社。マーケティング部門に配属され、現在は、ぷにるんずを含むファッションエンターテイメント事業のマーケティングを管轄する。

Y.O.

2009年入社

Hitsビジネス本部
リカちゃん事業部
企画開発課

マーケティング部門に5年ほど在籍した後、商品開発部門でさまざまなキャラクター商品を担当。現在は商品企画立案を専門に行う。

デジタルにさわる、という愛着。

商品企画がスタートしたのは2018年。液晶とペットというテーマだけは決まっていた。そこから時代に合わせてどんな特長があればいいのかという考えを一つずつ加えていって、市場が求めている商品に仕立てていった。発売は2021年7月。ちょうどH.N.さんが入社して間もないタイミングだった。

Y.O.
ぷにるんずはそもそも、さわれたらいいんじゃないか、さわることでもっと画面の中のペットに愛着が持てるんじゃないかという企画コンセプトから生まれた商品なんですよね。
M.T.
デジタルと逆張りのアナログ的なものとの掛け合わせでいろいろと企画を立ててまして。その中でちょうど両者がうまくマッチングしたのがこの「触感」なんじゃないかなと。
Y.O.
元々ペットを液晶の中で育てる商品が好きだったんですけど、何かもの足りないというか、もう一歩何かできたらいいなと思っていて。その時に、アナログ=触れるって、とっても可愛いというか、触れることでもっと好きになるし、もっと育てたくなるという感覚を引き出せそうだな、と思ったのがきっかけの一つでした。
H.N.
私が入社後の研修の時に「ぷにるんずが売れている」ということを耳にしました。ひと言で言うと液晶の中にいるキャラクターを本当に触っているみたいな感覚が味わえる商品ですね。 遊んでくれるのは、基本的には5、6歳の子たちがメインで、9割が女の子です。ぷにぷにしたキャラクターを本当にさわっているみたいな感覚が味わえるところが第1弾の時からずっと支持されている理由になりますね。
M.T.
身の回りにスマホやタブレットといった、いわゆるデジタルガジェットが当たり前のように身近にある中で、触れ合うという部分に愛着が湧くというか。その上で、画面で見ているものに実際に触れられることが、きっと子どもたちにとって初めての体験で。そこにすごく不思議な感動体験が生まれているんでしょうね。

検証の数が多いほど、最高の商品に近づける。

アイデアを商品として実現する。そのプロセスに待っているのは、検証に次ぐ検証だ。色、形、仕様、感触、動き。小さな玩具の中にあるあらゆる要素にとっての理想を、一つひとつ検証する。検証を重ねて辿り着いた理想形の集合体こそが、世の中がまだ知らない最高のアソビになる。

Y.O.
最初は本体の形状も丸じゃなくて、ジュースの形だったり、いろんなお家の形だったり色々あったんですけど、形に意味をもたせると、主役である商品のギミック(仕掛け)の印象が薄くなってしまうなと思いまして。ギミックを引き立たせるためにシンプルな可愛い丸い形にしました。で、「画面の中のペットに触る」を実現するために本体に穴を開け、穴の中に指を入れたら「ぷにぷに」のなにかがあり、それが画面の中にいるこの子の感触だったらおもしろいし可愛い!という発想から形状が決まりました。
M.T.
「ぷにぷに」にたどり着いたっていうのがすごくいいなと思っていて。あの当時、女の子たちの間で、スクイーズ(さわって楽しむ癒し系雑貨)が流行ってまして、スライムのようについついさわりたくなる感触が、トレンドになってたんですよね。なので、触感との掛け合わせもマッチしてたのかな、と。ぷにるんずの「ぷにぷに」とはどういう感触なんだ、ということにはかなりこだわっていました。もちろん、この世に存在しないものを、存在するものに仕立て上げることだと思うので、苦労するのだと思いますが。
Y.O.
スポンジとかシリコンとか、いろんな素材を買い集めて、目をつむってさわってみて、「違うなぁ」みたいな感じで。種類もそうですし、厚さによってもやっぱり変わるんですよ。厚いほうがぷにぷにするから「これがいい!」と思っても、今度はそれを挟むパーツから外れちゃう課題が発生したりして。さらに10種類ぐらい検証したんじゃないですかね。最後はみんなに聞いて「これ気持ちいいね!」というひと言で決まりました。

知りたい気持ちを呼び覚ますために外したセオリー。

一般的に、おもちゃは店頭にサンプルを置いて体験してもらうことで販売につなげるのがセオリーだ。しかし初代の発売時にはサンプルを置かないと決めてさわらせないようにした。実際に購入するまで、穴は見えるが、この中にいったい何がいるのかわからないからこそ、買ってさわってみたい。店頭に、そんな気持ちが生まれた。

M.T.
誰もさわったことがないぷにるんずという生き物が、自分の手元にきた時の本当のファーストインプレッションを楽しんでほしいと考えまして。「あんな感じかな?」「こんな感じじゃないかな?」という想像をめぐらせた上で、この得も言われぬ感覚を体験してほしいと思いました。一度さわり始めるとずっとさわっていたくなる、その最初の一歩を大事にしたかったので、頑なにサンプルは置かなかったですね。穴にもこだわりがあって、中のパーツをわざと全部真っ黒にして中が見えないようにしてるんですよ。「本当にぷにるんずが中にいるかもしれない」と思って子どもたちが覗いた時に、機構が見えない方が夢があってワクワクしますから。
H.N.
新入社員の研修で「遊び込み会」と呼ばれる、商品を触って、その商品のいいポイントや懸念ポイントを話す場がありまして。ぷにるんずはその会で私が一番遊んでいた商品でした。小さい頃から液晶玩具はずっとさわってきて、その液晶の中のキャラクターに愛着を持って遊んでいました。なのでぷにるんずに関しては、さわって、しかも喜んでくれるようなリアクションもあるので、ハマってました。自分が小さかった頃にこういうおもちゃが欲しかったなというのが率直な感想です。
Y.O.
名前に関しても触感が伝わる名前にしたかったのと、実在する生き物でもないから、特徴を表す固有の名前をつけたかったんです。「ぷにぷにである」ことが一番の特徴なので「ぷに○○」とか「○○ぷに」みたいな色々な名前のアイデアを出して、その中で可愛くて覚えやすくて言いやすいことが一番の決め手になったと思います。
M.T.
特別な名前をつけてもらったことで、誰も知らないところが逆に武器になっていると思います。さわったこともないし「どんな子なんだろう?」と子どもたちの関心を惹くきっかけになっていますね。

オリジナル商品に対する疑問符を乗り越えて。

すでに世の中に認知のあるキャラクターを起用するよりも、オリジナルキャラクターをゼロから売り出すことは難しい。商品化決定会議では売上に結びつくかをシビアに判断する。それでも、いつも自部門の商品を一番におもしろがってくれるM.T.さんの声に後押しされ、オリジナルにこだわって発売した。いざ売れ始めると、懐疑的だった社内の声は吹き飛んだ。4年目にしてシリーズは第3弾へと進化し、キャラクターもどんどん増えていった。

H.N.
ぷにるんずのキャラクターは食べものの好き嫌いから寝相まで、それぞれ違うんです。実際そういう性格を見てから、たださわるだけでも愛着が湧きますが、キャラクターの性格を知るとさらに愛着が湧いてきます。第2弾、第3弾が発売されて新キャラクターも増えたので、ユーザーの子たちに性格の違いを見せた方がさらに愛着が深まると思って、ホームページにキャラクター一覧のページをつくって全員の性格を記載したり、イベントでもキャラクターをずらっと並べて性格がわかるようにしたり。子どもたちがぷにるんずの色んなキャラクターを知る機会を少しずつ増やしています。
M.T.
今の誤算といえば、育てたキャラクターに愛着を持ちすぎてバイバイできなくなって、そのキャラクターしか育てられない子どもたちが多いところですね。そのくらい、もはやおもちゃじゃなくて、本当に生き物を育てている感覚で触れ合ってくれてるんだなって。デジタルの世界とリアルの世界が、どんどん垣根がなくなってくるような世界観がこの商品ではつくれたかもしれないと思っています。
H.N.
日本語の「ぷにぷに」にあたる外国語はないんです。だからこそ、お寿司とか漫画といった言葉が海外に日本語のまま伝わっているように、「ぷにぷに=ぷにるんず」になるくらいのブランドに成長させていきたいなと。
M.T.
H.N.さんのいいところでもあるんですけど、ぷにるんずへの愛がちょっと重いっていう(笑)。彼女自身も一人のファンとして取り組んでくれてることは私もすごく助かっているし、ファン目線で見てくれるので素晴らしいです。この仕事をしていて苦しかったこととかはないの?
H.N.
次のシリーズができたら忙しくなるなぁ、という思いより、早く商品化して子どもたちに届けたい!楽しんでもらいたい!という思いの方が強いです。だから、苦しいとか大変という感じはないです。それよりも、キャラクターが今60種類以上いるのに「あいるん」の人気がダントツ1位だから、ちゃんといろんな子たちを知ってもらいたい。みんな愛してほしいという思いの方が先に立ちますね。
Y.O.
「みんなを愛してほしい」と思うのって、すごい「愛」だよね(笑)。私はオリジナルキャラクターの商品をまず出せてヒットしたっていうのはかなり自信にはなったかなとは思いますね。企画開発の視点から言うと、ぷにるんずって特に最新技術を使っているわけでもなく、既存の技術を組み合わせたり別の見せ方をすることでまだまだおもしろいことができるんだと証明できたわけなので、ぷにるんずを続けていきつつ、また新しいギミックのおもちゃを考えていきたいなって思っています。
M.T.
おもちゃからはじまった「ぷにるんず」ですが、今ではアニメ化もされ、さらにそのキャラクターや世界観が広がるストーリーをお届けできていると実感しています。
おもちゃにとどまらず、新たなアソビの価値を創出し、世界中で愛されるIP※1へ成長させることが私たちのミッションですね。
※1:intellectual propertyの略称。「知的財産」と訳され、経済的な価値を有した情報の総称。一般的には人間の手で生み出された著作物の全般を指し、アニメ・マンガ・ゲームなどのキャラクターやロゴマークなどがIPに含まれる。